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チャイを支える、力強い方のシナモン
カシアは、クスノキ科の常緑樹の樹皮を乾かしたスパイスです。日本で「シナモン」として売られているものの多くは、実際にはこのカシアです。
セイロンシナモンより北で育ち、樹皮が厚く硬い。中国では古くから使われてきました。五香粉にもチャイにも、この木の皮が入っています。
太い。まっすぐ。シナモンと比べたときの第一印象はこれです。甘さと温かさが濃く、そこにピリッとした刺激と渋みが乗る。シナモンが持っている柑橘のような爽やかさは、カシアにはありません。
その太さが、煮出す飲みものでは強みになります。牛乳のように濃度のあるものに負けない。チャイのスパイスがカシアであることが多いのは、この理由です。繊細さでは負けますが、押しの強さでは勝ちます。
そしてカシアには、シナモンにはない甘い成分がひとつあります。クマリンといって、桜餅の葉やトンカ豆の、あの粉っぽく甘い香りと同じもの。カシアの甘さがシナモンより「濃い」と感じられるのは、この成分が加わっているからです。日本人には馴染みの深い香りでもあります。
樹皮は一枚の板が硬く丸まった形をしています。指で崩せるシナモンとはまるで違い、家庭のミルではまず歯が立ちません。ホールで買うなら、砕かずに丸ごと使う前提で。
香りの行き先
乾いた土と、甘い樹皮。菓子と料理くらい離れて見えますが、カシアの甘さは土を敷かれると持続します。北アフリカや中東の肉料理でこの組み合わせが多いのは、偶然ではありません。
どちらも甘く温かい素材なので意外ではない、と思われるかもしれません。意外なのは効き方のほうです。カシアはナツメグの強さを抑えます。ナツメグを入れすぎたときの救済策になる、数少ない相手です。
甘さの下に別の質感を敷く方向。カシアは甘さが強いので、そのままだと単調になりやすい。土や苦みが入ると、甘さが立体になります。
ナツメグとの組み合わせは特に噛み合います。カシアの甘さがナツメグの強さを抑え、ナツメグの温かみがカシアに奥行きを足す。互いの角を落とし合う関係です。
重くなりがちなカシアに、抜け道をつくる方向。チャイでカルダモンが必ず隣にいるのは、この役割のためです。
入れどき
はじめ、油に
スティック
樹皮の奥から香りが出るまで時間が要る。最初に入れる。
牛乳で煮出す
スティック
脂肪が香りを受け止め、太さがそのまま出る。
最後、パウダーで
パウダー
甘い香りがまっすぐ立つ。加熱しないほうが強い。
弱火の油にスティックごと。厚い樹皮から香りを引き出すには時間がかかるので、他のどのスパイスより先に入れて構いません。折らずに入れて、最後に取り出すのが扱いやすい。
牛乳や豆乳と一緒に、蓋をして煮出します。香りは水に溶けにくく、脂肪と蒸気が運ぶ。カシアの押しの強さは、この使い方でいちばん活きます。
火から下ろしてから振ります。パウダーは加熱すると急速に香りを失うので、仕上げに。砂糖と混ぜておくと均一に散らせます。
シナモンより一段強いので、シナモンのレシピをカシアで作るなら少なめから。逆にカシアのつもりでシナモンを使うと、物足りなく感じます。
牛肉、豚肉、りんご、さつまいも、牛乳、チョコレート。甘さと脂肪を持つものに向きます。とくに乳製品との相性がよく、押しの強い香りが乳脂肪に負けない。チャイにカシアという組み合わせが定着しているのは、この理由です。
淡白な白身魚や、繊細な出汁の料理には向きません。カシアの甘さが料理の輪郭を覆ってしまいます。
チャイ。カシアのスティックを1本、生姜の薄切りと一緒に少量の水で煮出し、紅茶の葉と牛乳を入れて煮る。それだけです。シナモンで作ると香りが牛乳に負けますが、カシアなら負けません。
一枚の厚い樹皮が硬く丸まった形をしています。何層にも巻かれて指で崩せるならシナモン、これがカシアとシナモンのいちばん確実な見分け方です。
スティックなら一年ほど保ちます。パウダーは半年で香りが落ちるので、煮出す用途ならスティックのほうが経済的です。
密閉して冷暗所へ。折れやすいので、袋のままより缶や瓶に入れておくと粉になりません。
Inspiceは、カシアを17のブレンドに使っています。コリアンダー、クローブと並んで最も出番の多い一本です。
チャイは全種でカシアが原材料表の上位に来ます。牛乳で煮出す飲みものだからです。シナモンでは乳脂肪に負けて、香りが立ち上がってこない。押しの強さが要る場所には、最初からカシアを置いています。
シナモンを使っているのはフレアラインMELLOW FIREの一本だけ。17対1という差は、優劣ではなく用途の差です。煮出すならカシア、橋渡しならシナモン。
カシアは、Inspiceの17のブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
チャイ(スパイスパック)「カカオニブチャイ スパイスパック」 2パック入りカカオニブの重さと釣り合う太さ。ここでも上位に置いています。
チャイ(スパイスパック)「チャイ スパイスパック」 2パック入り表の二番目。牛乳で煮出すチャイの土台で、この香りの太さが商品の性格になっています。
チャイ(CHAInstant)CHAInstant「チャイ インスタント」上位三番目。溶かして飲む形でも、甘さの主軸はカシアのままです。
チャイ(CHAInstant)MINT CHAInstant「ミントチャイ インスタント」三種のミントの涼しさに対して、温かさの側の主軸。
チャイ(CHAInstant)Yomogi CHAInstant「ヨモギチャイ インスタント」よもぎの青さの下に敷く甘さ。和の香りが浮かないようにする役です。
スパイスカレースパイスカレー スパイスパック シンフォニーNo.1上位三番目。コリアンダーとマスタードの土台に、温かさを重ねています。
スパイスカレースパイスカレー スパイスパック シンフォニーNo.3五香粉の甘さの主軸。ベイリーフとローリエ、二枚の葉と組ませています。
チャイ(CHAInstant)4 FLAVOR CHAInstant PACK「4フレーバー チャインスタント パック」4種の詰め合わせ。フレーバーが変わっても、カシアが上位にいる構造は共通しています。
チャイ(CHAInstant)CACAONIBS CHAInstant「カカオニブチャイ インスタント」カカオが主役の一杯で、甘さの芯を担っています。
チャイ(CHAInstant)Golden CHAInstant「ゴールデンチャイ インスタント」ターメリックの土に、甘さで蓋をする位置。
チャイ(CHAInstant)HotBoost CHAInstant「ホットブーストチャイ インスタント」生姜と唐辛子の熱の隣で、甘さを保つ役。熱だけの一杯にしないためです。
スパイスカレースパイスカレー スパイスパック シンフォニーNo.4果実の甘さが主役の一本で、その甘さを香りの側から支える役。
ココアthe cocoa「ハイカカオとスパイスのココア」/84gカカオの苦みに対する甘さの側。骨格を支える位置に置いています。別の木です。カシアは中国やベトナム産で樹皮が厚く硬く、香りが濃くまっすぐ。シナモンはスリランカ産で薄く柔らかく、柑橘のような爽やかさがあります。日本で安価に売られている「シナモン」の多くはカシアです。
用途で決まります。チャイや煮込みのように濃いものと合わせるならカシア、りんごや焼き菓子のように繊細なものならシナモン。一本だけ選ぶなら、日本の食卓ではカシアのほうが出番が多いはずです。
挽けなくて正常です。カシアの樹皮は硬く、家庭用のミルでは歯が立ちません。丸ごと煮出して最後に取り出す使い方が本来の形で、パウダーが必要なときはパウダーを買ってください。
クマリンという成分です。桜餅の葉や、トンカ豆、刈りたての干し草の香りと同じもの。シナモンには含まれず、カシアだけが持っています。カシアの甘さがシナモンより濃く感じられるのは、この香りが加わっているからです。
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