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ハンバーグの相棒。甘く温かな種子の香り
ナツメグは、熱帯の常緑樹の果実から採れる種子です。同じ果実の、種子を包むレース状の網を乾かしたものがメース。ナツメグとメースは、一つの実から採れる兄弟です。
かつてはマルク諸島だけで採れたため、この島をめぐって国が争いました。一本の木が年に一万個以上の実をつけます。
甘く、温かく、そして少し苦い。クローブに似た甘さと、胡椒に似た刺激を両方持っています。どちらつかずに見えて、この二面性がナツメグを扱いやすくしています。甘い料理にも、肉料理にも入っていける。
面白いのは、口に残る感覚です。しびれるような、長く続く冷たさがある。花椒のしびれと似た仕組みで、香りとは別に舌が感じているものです。ナツメグを効かせた料理の後味が長いのは、このためです。
そして加熱すると甘い側が強くなります。生のまま振ったときは刺激と冷たさが立ち、火を通すと甘さが前に出る。同じスパイスで二つの顔を使い分けられます。
香りの行き先
甘い種子と、しびれる実。まったく別のスパイスに見えますが、舌に長く残る冷たさという点で同じ仕組みを持っています。ナツメグを多く使った料理の後味が花椒に似て感じられるのは、気のせいではありません。
リコリスの甘い香りと、温かく苦い種子。方向が違うように見えて、ナツメグの温かみを増幅する数少ない相手です。甘いウッディさの側で手を結びます。
カシアはナツメグの強さを抑える働きをします。ナツメグが立ちすぎると感じたら、増やすのではなくカシアを足してください。
重なる香りが多い組み合わせです。束ねると甘い温かさが一枚の厚い層になります。焼き菓子と煮込みの両方で効きます。
ナツメグの温かみに、実際の辛さを足す方向。ホワイトソースやひき肉料理で、味が締まります。
針葉樹の香りを共有しています。ジビエや豚肉の煮込みで、この二つを組むと山の香りが出ます。
入れどき
こねる段階で
すりおろし
加熱で甘い側が立ち、焼き上がりで香りが完成する。
火を止める直前に
すりおろし
香りが飛ぶ前に入る。乳製品が香りを留める。
皿の上で
おろしたて
刺激と、舌に長く残る冷たさがまっすぐ立つ。
ひき肉に混ぜ込みます。ナツメグは加熱すると甘い側が強くなるので、こねた時点ではまだ香りが完成していない。焼き上がってはじめて狙いどおりになります。ひき肉料理にナツメグ、という定番にはこの理由があります。
仕上がりの直前に削り入れます。ナツメグの香りはスパイスのなかでもとくに飛びやすいので、他の多くのスパイスと逆で、後半に置くのが原則です。乳製品と一緒だと香りが長く留まります。
火から下ろしてから、おろし金で削ります。一削りが一回分。加熱していないぶん、あの冷たい後味がそのまま出ます。ナツメグを最も贅沢に使う形です。
渋みが料理を圧倒しやすいスパイスです。足りないと感じるくらいで止めておくと、後味がきれいに残ります。そして早く入れすぎないこと。香りがとくに飛びやすいので、長く煮ると残りません。
ひき肉、乳製品、じゃがいも、ほうれん草。それと果物と焼き菓子。乳製品との相性がとくによく、ホワイトソースにナツメグという組み合わせが定着しているのは偶然ではありません。脂肪が香りを留めるからです。
魚介と、あっさりした野菜料理には向きません。ナツメグの渋みが素材の繊細さを覆ってしまいます。
ほうれん草のバターソテー。バターで炒めて塩、最後におろしたてを二削り。それだけで、ほうれん草の青さが甘い側へ寄ります。
ホールで買って、おろし金で削る。ナツメグはこの差がとくに大きいスパイスです。専用のおろし金は小さくて安価なので、一つ持っておく価値があります。
重くて、ずっしりしたものを選びます。振っても中で音がしないものが新しい。乾ききって軽くなったものは、香りも抜けています。
パウダーは香りの落ちが特に早い部類です。ホールなら数年持ちますが、粉にした瞬間から時計が動きはじめると考えてください。
Inspiceは、ナツメグを14のブレンドに使っています。温かみを担当する素材として、広く薄く配置してあります。
どの商品でも、原材料表の後半にあります。渋みが料理を圧倒しやすい素材なので、前に出す設計にはしていません。あの舌に長く残る冷たさは、少量でも十分に効きます。
同じ果実から採れるメースも、別の商品で使っています。ナツメグでは強すぎる場面ではメースへ。一つの実から二つの階調を取り出せる、という前提で使い分けています。
ナツメグは、Inspiceの14のブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
チャイ(スパイスパック)「カカオニブチャイ スパイスパック」 2パック入りカカオの重さの後ろで、渋みを揃えています。
チャイ(スパイスパック)「チャイ スパイスパック」 2パック入りチャイの後半。温かみを一枚だけ足しています。
チャイ(CHAInstant)4 FLAVOR CHAInstant PACK「4フレーバー チャインスタント パック」4種の詰め合わせ。どの一杯にも、後味の長さとして入っています。
チャイ(CHAInstant)CACAONIBS CHAInstant「カカオニブチャイ インスタント」ごく少量。カカオの苦みと同じ方向なので、控えめにしてあります。
チャイ(CHAInstant)CHAInstant「チャイ インスタント」チャイと同じ位置。溶かして飲む形でも役割は変えていません。
チャイ(CHAInstant)Golden CHAInstant「ゴールデンチャイ インスタント」ターメリックの土の後ろ。土と渋みを繋いでいます。
チャイ(CHAInstant)MINT CHAInstant「ミントチャイ インスタント」涼しさが主役の一杯で、舌に残る冷たさをもう一種類。ミントとは別の仕組みの冷たさです。
チャイ(CHAInstant)Yomogi CHAInstant「ヨモギチャイ インスタント」よもぎの青さの後ろで、温かみを添える位置。
ディッシュディッシュ シンフォニーNo. 1香ばしさの主役たちの下で、後味を丸くする役。
ディッシュディッシュ シンフォニーNo. 2表の終わりに近い位置。土と柑橘が主役の一本で、後味だけを長くしています。
ディッシュディッシュ シンフォニーNo. 5表の最後。四種の胡椒の刺激を、舌に残る冷たさで受け止めています。同じ果実から採れます。種子がナツメグ、それを包むレース状の網がメース。香りは近いのですが、メースのほうが穏やかです。ナツメグでは強すぎると感じる場面で使うとうまくいきます。
ホールです。ナツメグは香りがとくに飛びやすいスパイスで、パウダーは数か月で別物になります。専用のおろし金は小さくて安価なので、一つ持っておく価値があります。
ひき肉の臭みと釣り合う香りだからです。消しているのではなく、隣に立って釣り合いを取っている。加熱すると甘い側が強くなるので、焼き上がりで香りが完成します。
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