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Inspiceスパイス事典カロンジ
カロンジ(カロンジ)
Kalonji / Nigella

カロンジ

玉ねぎに似た香ばしさをもつ、黒い種子

カロンジは、キンポウゲ科の一年草の種子です。ブラッククミン、ブラックキャラウェイ、ブラックオニオンシード——いろいろな名で呼ばれますが、そのどれとも別の植物です。

カロンジとは

学名
Nigella sativa
科名
キンポウゲ科
使用部位
種子
原産地
南ヨーロッパ・西アジア
主な産地
インド、エジプト、トルコ
和名
ニオイクロタネソウ
別名
ニゲラ、ブラッククミン、ブラックオニオンシード
流通の形
ホール

ナンの表面に散らしてある黒い粒がこれです。インドや中東では日常的な素材で、パンにも野菜にも豆にも使われます。

どんな香り

玉ねぎを焦がしたような香ばしさ。そこにわずかな苦みと、鼻に抜ける刺激。名前に「オニオン」が入っているのは、この香りのためです。玉ねぎとは何の関係もありません。

名前が三つとも借り物です。クミンでもキャラウェイでも玉ねぎでもない。黒くて小さい種子だから、そう呼ばれてきただけです。実際にはキンポウゲ科で、セリ科のクミンやキャラウェイとは科からして違います。

そして油で加熱すると、香ばしさが一気に立ち上がります。生のままではおとなしい種子が、熱い油に触れた瞬間に別のものになる。この変化がカロンジの本領です。

香りの行き先

カロンジ

意外に近い

カロンジは、名前を三つも借りているのに、そのどれとも別の植物です。持っている香りには他と分け合っているものもありますが、この焦がした玉ねぎのような香ばしさだけは、代わりが利きません。

一緒に使うと伸びる

香ばしさを重ねる

カロンジの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

キャラウェイ

インドの黒い種子と、ヨーロッパのパンの種子。まったく別の植物ですが、この二つが持つ香りの成分は鏡像の関係にあります。分子式も骨格も同じで、立体だけが反転している。片方が冷たさ、もう片方が温かい甘さ。InspiceのCITRUS EMBERでは、この二つをまったく同じ重さで置いてあります。

オレガノ

インドの種子と、地中海の葉。産地も使い方も違いますが、カロンジの香りの中心にはオレガノと同じ骨格を持つ成分が含まれています。カロンジをどこかオレガノっぽいと感じる人がいるのは、気のせいではありません。

一緒に使うと伸びる素材

香ばしさを重ねる ── 白ごま、マスタード

どれも油ではじけさせる種子です。同じ鍋で同時に扱えて、香ばしさが層になります。ナンやパンの表面に三種類混ぜて散らすのも定番です。

土の側へ ── クミン、アジョワン、ナツメグ

乾いた土と薬草の方向。インドの豆料理でこの並びが多いのは、香ばしさに芯を通すためです。

柑橘で軽くする ── コリアンダー、レモンピール

カロンジのわずかな苦みを、明るさで受け止める方向。重くなりがちな豆料理が軽くなります。

料理への応用

入れどき

はじめ、油ではじけさせる

ホール

香ばしさが一気に立つ。ここが本領。

豆料理炒め物カレー

生地にまぶす

ホール

焼き面で香ばしくなる。食感も残る。

ナンフォカッチャクラッカー

最後、そのまま散らす

ホール

香ばしさは控えめだが、見た目と食感が出る。

サラダヨーグルトチーズ
カロンジを、いつ入れるか

はじめ、油ではじけさせるホール

熱した油に入れると、はじけて香りが立ち上がります。生のままとはまるで別のものになるので、この工程を省かないでください。焦がすと苦みだけが残るので、香りが立ったらすぐ次へ。

生地にまぶすホール

成形した生地の表面に散らして焼きます。ナンの黒い粒がこれです。噛み当たったところで香りが弾けます。

最後、そのまま散らすホール

火を通さずに散らします。香りは油で熱したときほど立ちませんが、黒い粒が料理の表情になります。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほど小さじ1/4料理に香ばしさが出る。カロンジとは気づかれない
効かせる小さじ1/2カロンジの香りだとわかる。ふだんはここ
主役にする小さじ1カロンジの料理になる

油で熱したかどうかで香りの出方が倍ほど違います。量を増やす前に、油ではじけさせたか確認してください。

この食材と合う理由

豆、じゃがいも、なす、かぼちゃ、パン、チーズ、ヨーグルト。澱粉と乳製品が得意です。カロンジの香ばしさは、地味な素材を引き立てるのに向いています。豆料理が一気に本格的になる、という効き方をします。

繊細な白身魚や、菓子には向きません。香ばしさと苦みが甘さと噛み合わないためです。

うまくいかないときの直し方

  • 香りがしない油で熱していません。生のままではおとなしい種子です。熱した油に入れてはじけさせてください
  • 苦い焦がしています。香りが立ったらすぐ次の工程へ進んでください
  • クミンのつもりで買った別の植物です。ブラッククミン、ブラックキャラウェイと呼ばれますが、キンポウゲ科でセリ科とは科からして違います。香りも別物です

一皿の設計例

じゃがいものカロンジ炒め。熱した油に小さじ1/2を入れてはじけさせ、そこへ角切りのじゃがいもと塩。それだけで、いつもの炒めものが別の国の料理になります。

選び方・保存

黒く、角ばった小さな粒です。ごまより小さく、表面につやがない。指で潰すと香りが立ちます。

ホールで一年ほど。パウダーはほとんど流通していませんし、必要もありません。

密閉して冷暗所へ。ナンやパンを焼く習慣があるなら、多めに持っていても使い切れます。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceがカロンジを使っているのは、フレアラインCITRUS EMBERの一本だけです。

そしてこの一本では、カロンジとキャラウェイをまったく同じ重さで置いてあります。この二つは香りの成分が鏡像の関係にあり、分子式も骨格も同じで立体だけが反転している。片方が温かい甘さ、もう片方が冷たさを担います。

同じ形の裏と表を、同じ量で向かい合わせる。CITRUS EMBER——柑橘の残り火という名前は、この拮抗から付けました。

カロンジが働いている商品

カロンジは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

カロンジとブラッククミンは同じものですか?

カロンジがブラッククミンと呼ばれることはありますが、クミンとは別の植物です。カロンジはキンポウゲ科、クミンはセリ科。ブラックキャラウェイ、ブラックオニオンシードという名も同様で、そのどれとも関係がありません。

ナンについている黒い粒はこれですか?

そうです。インドや中東ではパンの表面に散らして焼くのが定番で、噛み当たったところで香ばしさが弾けます。フォカッチャやクラッカーに使っても同じように効きます。

香りが弱いのですが

油で熱していない可能性が高いです。カロンジは生のままだとおとなしく、熱した油に触れた瞬間に香ばしさが立ち上がります。量を増やす前に、この工程を確認してください。

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