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Inspiceスパイス事典ローリエ
ローリエ(ローリエ)
Bay Laurel

ローリエ

月桂樹の葉。煮込みの静かな番人

ローリエは、月桂樹の葉を乾かしたものです。煮込みに一枚沈めておくあの葉で、勝利の冠に使われてきた木でもあります。

ローリエとは

学名
Laurus nobilis
科名
クスノキ科
使用部位
原産地
地中海東部沿岸
主な産地
トルコ(世界供給の大半)、地中海沿岸諸国
和名
月桂樹(げっけいじゅ)
別名
ローレル、ベイローレル
流通の形
乾燥葉(ホール)/パウダー

地中海の東側が原産で、いまはトルコが世界のほとんどを供給しています。月桂冠の月桂樹と、料理に使うローリエは同じ木です。

どんな香り

樹脂と、ハーブと、わずかな花。単独で嗅ぐと、思ったより薬っぽく感じるかもしれません。ところが料理に入れると、その薬っぽさがきれいに消えて、全体の輪郭だけが残る。ローリエは自分の香りを主張しないスパイスです。

生の葉は苦みがありますが、乾かすと柑橘のようなすっきりした香りに変わります。乾燥品が主流なのは、保存のためだけではありません。乾かしたほうが料理に向く香りになるからです。

そしてローリエは、他のスパイスと最もよく手を結びます。あるスパイスとは香りの成分を五つも共有していて、これはスパイス全体を見渡しても最大級の近さです。誰の隣にでも立てる——ローリエが煮込みの定番である理由は、ここにあります。

香りの行き先

ローリエ

意外に近い

ローリエには固有の香りがありません。持っている香りをすべて他のスパイスと分け合っていて、しかも共有の数が飛び抜けて多い。だから「入れても邪魔にならないのに、抜くと物足りない」という不思議な立ち位置になります。

一緒に使うと伸びる

甘さと温かみを足す

ローリエの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

クローブ

煮込みに沈めておく地味な葉と、一粒で場を支配するつぼみ。存在感が正反対です。ところが香りの成分を三つ分け合っている。ポトフの玉ねぎにクローブを刺し、そこへローリエを一枚、という作法が世界中にあるのは、この近さがあるからです。

赤花椒

地中海の葉と、四川の実。産地も用途もまるで違いますが、香りの成分を四つ共有しています。ローリエが中華の煮込みに入っても違和感がないのは、このためです。

一緒に使うと伸びる素材

温かくウッディに ── ブラックカルダモン、カルダモン、ナツメグ

同じ清涼感の方向を厚くする組み合わせ。ブラックカルダモンは燻香を、カルダモンは柑橘を、ナツメグは温かみを連れてきます。

甘さと温かみを足す ── クローブ、カシア

ポトフに玉ねぎとクローブとローリエ、という古典的な組み合わせの根拠です。甘い側の香りを共有しているので、束ねても濁りません。

ぴりっとさせる ── ブラックペッパー、フェンネル

ローリエの穏やかさに、刺激で角を立てる方向。煮込みが眠くなってきたときの一手です。

料理への応用

入れどき

はじめ、油に

乾燥葉

香りは油に溶ける。水だけではあまり出ない。

煮込みカレーピラフ

途中、煮汁に

乾燥葉

全体の輪郭が整う。主張はしない。

ポトフシチューマリネ液

二時間経ったら取り出す

乾燥葉

それ以上は苦みが出る。

長時間の煮込み
ローリエを、いつ入れるか

はじめ、油に乾燥葉

弱火の油に一枚。葉の奥から香りを引き出すには油が要ります。水だけの鍋に浮かべておくより、最初に油で温めるほうがはるかに香ります。

途中、煮汁に乾燥葉

軽くちぎって入れると、断面から香りが出ます。ブーケガルニとして他のハーブと結んでもいい。長い煮込みの相棒です。

二時間経ったら取り出す乾燥葉

ローリエには珍しく、使用時間の上限があります。二時間を超えて煮続けると苦みが出てくるので、そこで取り出してください。入れっぱなしにしないこと。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほど1/2枚料理の輪郭が整う。ローリエとは気づかれない
効かせる1枚ローリエの香りだとわかる。ふだんはここ
主役にする2枚ローリエの料理になる。これ以上は苦みが立ちます

葉一枚に対して、油が大さじ3ほどあると香りがよく出ます。量を増やすより、油を足すほうが効きます。

この食材と合う理由

牛肉、豚肉、魚介、豆、トマト。長く火を入れる料理のほとんどに合います。ローリエは素材の香りを覆わないので、何を主役にしても邪魔をしない。マリネ液やピクルスの漬け汁にも向きます。

果物と菓子には使われません。短時間で仕上げる料理でも、香りが出きらないうちに終わってしまいます。

うまくいかないときの直し方

  • 苦くなった煮すぎです。二時間を超えたら取り出してください。入れっぱなしが原因のことがほとんどです
  • 香りがしない油が足りていません。水だけの鍋に浮かべても、あまり出ません。最初に油で温めてください
  • 入れる意味があるのかわからない一度、抜いて作ってみてください。ローリエは足したときより、抜いたときにわかるスパイスです

一皿の設計例

きのこのマリネ。オリーブオイルでソテーしたきのこを、酢・塩・ローリエ一枚と一緒に漬けるだけ。翌日には、ローリエの入っていないマリネには戻れなくなります。

選び方・保存

葉の緑が残っているものを選びます。茶色く褪せたものは香りも抜けています。割ってみて、断面から香りが立てば十分です。

パウダーもありますが、葉のまま買うほうが確実です。取り出せるという利点が大きい。二時間で引き上げる、という使い方はホールでしかできません。

密閉して冷暗所へ。乾燥葉なら一年ほど保ちます。かさばるので、割って保存すると場所を取りません。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceがローリエを使っているのは、スパイスカレー シンフォニーNo.3の一本だけです。表の後半、ごく少量。

少ないのには理由があります。ローリエは誰とでも手を結ぶ素材なので、入れれば必ず馴染む。逆に言えば、入れる必然がないと惰性で使ってしまう。No.3は五香粉の甘さとしびれが同居する複雑な一本で、ここには要素どうしを繋ぐ役が必要でした。だから入れています。

同じNo.3には、カシアの葉であるベイリーフも入れてあります。甘い葉とすっきりした葉。性格の違う二枚を並べることで、煮込みの香りに幅が出ます。

ローリエが働いている商品

ローリエは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

ローリエとベイリーフは同じものですか?

英語の bay leaf は月桂樹を指すので同じものですが、インド料理で「ベイリーフ」と呼ばれる葉はカシアの葉で、別の木です。甘い香りがあり、月桂樹のすっきりした香りとは別物。Inspiceでは両者を別の素材として扱っています。

ローリエは何枚入れればいいですか?

2人分なら1枚で足ります。量を増やすより、油を足すほうが効きます。葉一枚に対して油が大さじ3ほどあると、香りがよく出ます。

いつ取り出せばいいですか?

二時間が目安です。それ以上煮続けると苦みが出てきます。ローリエには珍しく、はっきりした使用時間の上限があるスパイスです。

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