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ピザとトマトの、力強い野生のハーブ
オレガノは、地中海沿岸に自生するシソ科のハーブです。花よりも葉のほうが強く香るので、料理には葉を使います。
名前はギリシャ語の「山の歓び」に由来します。乾いた岩場に生え、踏むと香りが立つ——山を歩く人にとっては、地面から立ち上る匂いだったのでしょう。
清涼感と、ほろ苦さ。フレッシュな葉は爽やかで、そこにわずかな甘さとスパイシーさが乗ります。手でちぎると、指に匂いが残るくらい強い。
ところが乾かすと、別のハーブになります。甘さがほとんど消えて、ほろ苦さだけが際立つ。しかも香りは弱くなるどころか濃くなります。フレッシュとドライで性格が変わるハーブは多いのですが、オレガノは振れ幅がとくに大きい。
だから使い分けが要ります。爽やかさが欲しいならフレッシュ、味の濃い肉や青魚に立ち向かうならドライ。同じ名前で売られていても、料理のなかでの仕事はまったく違います。
香りの行き先
地中海の葉と、焙った赤い粉。どちらもトマトの隣に立つ素材ですが、直接組み合わせて考えることは少ないはずです。パプリカの焦げた甘さがオレガノのほろ苦さを受け止めて、トマト料理の底が一段深くなります。
イタリアのハーブと、インドの種子。産地も料理も違いますが、乾いた土とほろ苦い葉は同じ側にあります。メキシコ料理でこの二つが同居しているのは、偶然ではありません。
同じシソ科どうし。互いに近いので、束ねても濁りません。イタリア料理の乾燥ハーブミックスは、だいたいこの並びです。
ドライのオレガノが本領を出す方向。牛や豚、青背の魚といったクセの強い相手に、ほろ苦さと刺激で立ち向かいます。
トマトを使う料理での定番。パプリカの焙った土がトマトの酸と噛み合い、オレガノがそこに苦みを足します。
入れどき
はじめ、オイルに
ドライ
香りは油に溶ける。水だけではあまり出ない。
途中、煮込みに
ドライの枝ごと
ほろ苦さが全体に回り、肉のクセを受け止める。
最後、指ですり潰して
ドライ
香りが立ち上がる。加熱しないほうが強い。
オリーブオイルで玉ねぎやにんにくを炒めるとき、一緒に入れます。オレガノの香りは油に溶けるので、水を入れる前に油と合わせるのが基本です。
枝ごと入れて、最後に取り出します。長く煮ても壊れにくいハーブなので、煮込みの相棒として安心して使えます。
手のひらでこすり合わせながら振りかけます。乾いた葉は指で潰すことで香りが出るので、そのまま散らすより一段効きます。
ドライはフレッシュより香りが濃く出ます。フレッシュのレシピをドライで作るなら、三分の一くらいから始めてください。
トマト、なす、ズッキーニ、牛肉、豚肉、青背の魚。夏の野菜と、クセの強い動物性。オレガノは相手のクセを消しません。ほろ苦さで隣に立って、釣り合いを取ります。
果物と菓子には向きません。ほろ苦さが甘さと噛み合わないためです。
トマトソース。にんにくをオリーブオイルで炒め、トマト缶と塩、そこへドライのオレガノを小さじ1/2。指ですり潰しながら入れるだけで、香りの立ち方が変わります。
ドライは緑が残っているものを選びます。茶色く褪せたものは香りも抜けています。粉より、葉の形が残っているもののほうが長持ちします。
半年から一年で香りが落ちます。密閉して冷暗所へ。使う直前に指で潰す習慣をつけると、多少古くても香りが出ます。
フレッシュは冷蔵で数日。使い切れないときは、洗わずに束ねて吊るしておけば自然に乾きます。
Inspiceは、オレガノを2つのブレンドに使っています。少数派の素材です。
スパイスカレー シンフォニーNo.3では、ローズマリーと一緒に、原材料表のいちばん後ろのほうにいます。カレー4作のうち、シソ科のハーブが入っているのはこの一本だけ。「たべるブーケガルニ」という発想が先にあり、それを成立させるためにオレガノを選びました。
量としてはごく微量ですが、抜くと消えるものがあります。オレガノのほろ苦さは、他のどの素材でも代わりになりません。
オレガノは、Inspiceの2つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
近い仲間です。マジョラムのほうが甘く穏やかで、オレガノのほうが苦く力強い。香りの成分をよく分け合っているので、互いに代用できます。手元にないときは入れ替えて構いません。
オレガノは乾かすと別のハーブになります。甘さが消えてほろ苦さが際立ち、香りはむしろ濃くなる。爽やかさが欲しいならフレッシュ、味の濃い肉や青魚に立ち向かうならドライです。
2人分ならドライで小さじ1/2から。フレッシュのレシピをドライで作る場合は、三分の一の量に減らしてください。ドライは香りが濃く出ます。
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