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Inspiceスパイス事典トゥルシー
トゥルシー(トゥルシー)
Holy Basil / Tulsi

トゥルシー

聖なるバジル。インドで最も敬われるハーブ

トゥルシーは、インド原産のバジルの一種です。バジルの仲間でありながら、クローブに似た香りを持つという、変わった立ち位置にいます。

トゥルシーとは

学名
Ocimum tenuiflorum
科名
シソ科
使用部位
原産地
インド
主な産地
インド、タイ、東南アジア
和名
カミメボウキ(神目箒)
別名
ホーリーバジル、ガパオ
流通の形
ドライ/フレッシュ

インドでは神聖な植物とされ、家の庭に植える習慣があります。トゥルシーという名も、宗教的な文脈で使われてきた呼び名です。

どんな香り

スイートバジルを思って嗅ぐと、面食らうかもしれません。あの甘く青い香りではなく、もっと薬っぽく、鋭い。クローブに近い温かさと刺激があります。

理由ははっきりしています。トゥルシーの主成分は、クローブの香りを担っているものと同じです。バジルの仲間なのに、香りの側ではクローブやオールスパイスの親戚。植物の分類と香りの分類が食い違う、面白い例です。

タイ料理のガパオに使われるのもこの葉です。豚ひき肉と唐辛子とガパオ——あの料理の背骨は、じつはクローブに似た香りが支えています。

香りの行き先

トゥルシー

意外に近い

トゥルシーは、植物としてはバジルの仲間なのに、香りの成分ではクローブやオールスパイスの側にいます。分類と香りが食い違う——だからスイートバジルの代わりに使うと、料理がまるで別のものになります。

一緒に使うと伸びる

緑の層をつくる

トゥルシーの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

カカオニブ

タイ料理の葉と、菓子の豆。使う場面が違いすぎますが、どちらも苦みと薬っぽさを持っています。カカオの苦みがトゥルシーの鋭さを受け止めるので、意外にも噛み合います。

カシア

インドの葉と、中国の樹皮。トゥルシーの主成分は甘く温かい側にあり、カシアと方向が揃います。バジルの仲間なのに甘い樹皮と組める、という意外さがここにあります。

一緒に使うと伸びる素材

クローブの側へ ── クローブ、オールスパイス、カシア

トゥルシーの薬っぽさを、甘く温かい方向へ寄せる組み合わせ。この三つとは香りの成分を分け合っているので、束ねても濁りません。

緑の層をつくる ── バジル、タラゴン、セージ

葉のハーブを重ねる方向。トゥルシーがいちばん強いので、他を控えめにして中心に据えると層ができます。

東南アジアの方向へ ── 唐辛子、こぶみかんの葉、ジンジャー

タイ料理の組み立て。唐辛子の熱とトゥルシーの薬っぽさが噛み合い、そこに柑橘が抜け道をつくります。

料理への応用

入れどき

はじめ、油に

ドライ/フレッシュ

薬っぽさが油に移り、全体の骨格になる。

炒め物カレーガパオ

最後、たっぷり加える

フレッシュ

青さと薬っぽさが同時に立つ。

ガパオ炒め物スープ

茶にする

ドライ

クローブに似た温かさが湯に出る。

ハーブティー
トゥルシーを、いつ入れるか

はじめ、油にドライ/フレッシュ

にんにくや唐辛子と一緒に油で炒めます。トゥルシーはスイートバジルより加熱に強いので、最初に入れても香りが残ります。

最後、たっぷり加えるフレッシュ

火を止める直前に、ひと掴み。タイ料理では驚くほど大量に使います。加熱時間が短いぶん、量で香りを出す考え方です。

茶にするドライ

熱湯を注いで数分。インドでは古くから茶として飲まれてきました。ミントとは違う、温かい方向の香りが立ちます。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほどフレッシュ5枚料理に薬草の芯が通る。トゥルシーとは気づかれない
効かせるフレッシュ10枚トゥルシーの香りだとわかる。ふだんはここ
主役にするフレッシュ一掴みガパオになる

スイートバジルと同じ量では強すぎます。逆にタイ料理では大量に使うので、レシピによって振れ幅が大きい素材です。

この食材と合う理由

豚ひき肉、鶏、唐辛子、にんにく、ナンプラー。それに豆と卵。強い相手が得意です。トゥルシーには薬っぽい鋭さがあるので、味の濃い炒め物のなかでも埋もれません。

繊細な白身魚や、生のトマトには向きません。そこはスイートバジルの担当です。

うまくいかないときの直し方

  • スイートバジルと違う味になった別のハーブです。トゥルシーはクローブに似た薬っぽい香りを持つので、カプレーゼやジェノベーゼには使えません
  • 薬っぽすぎる量が多いか、加熱が足りていません。油で炒めると角が取れます
  • 手に入らないタイ食材店で「ガパオ」の名で売られています。スイートバジルでは代用になりません

一皿の設計例

ガパオ風の炒めもの。豚ひき肉をにんにくと唐辛子で炒め、ナンプラーと砂糖で味を決めて、火を止める直前にトゥルシーをひと掴み。量に驚くくらいがちょうどいい。

選び方・保存

フレッシュは冷蔵で数日。スイートバジルより葉が硬く、黒くなりにくいハーブです。

ドライは茶に向きます。料理に使うならフレッシュを探してください。香りの質がかなり変わります。

日本ではタイ食材店か、種から育てるのが確実です。夏に強い植物です。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceがトゥルシーを使っているのは、フレアラインGREEN NUDGEの一本だけです。ただし原材料表の一番目——この商品でいちばん多く入っている素材です。

GREEN NUDGEは緑の葉を集めた一本で、トゥルシー、バジル、タラゴン、セージ、フェンネルと続き、最後にハバネロが一つ。その先頭にトゥルシーを置きました。

葉のハーブを何枚も重ねると、香りが散らばります。中心に強い一枚が要る。トゥルシーはバジルの仲間でありながらクローブに似た芯を持っているので、緑の層をまとめる軸になれました。

トゥルシーが働いている商品

トゥルシーは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

トゥルシーとバジルは同じものですか?

同じバジル属ですが、別の種です。スイートバジルは甘く青い香り、トゥルシーはクローブに似た薬っぽい香り。カプレーゼをトゥルシーで作ると、まったく別の料理になります。

ガパオと同じですか?

同じです。タイでガパオと呼ばれる葉が、トゥルシー(ホーリーバジル)です。日本のタイ料理店でスイートバジルが使われていることもありますが、本来はこちらです。

どこで買えますか?

タイ食材店かインド食材店、あるいは種から育てるのが確実です。夏に強い植物なので、鉢でも育ちます。ドライなら茶として楽しめます。

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