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記憶と海の雫。松のように凛としたハーブ
ローズマリーは、地中海沿岸の海辺に自生するシソ科の常緑低木です。針のような細い葉に、強い香りが詰まっています。
学名は「海の雫」を意味します。海に面した岩場に自生し、青い花が水滴のように見えたことに由来すると言われます。
強い。シソ科のハーブのなかでいちばん強い、と言ってしまってよいと思います。松のような樹脂の香りに、樟脳の冷たさが乗る。少し薬っぽい。好き嫌いがはっきり分かれるのも、この強さのせいです。
フレッシュは油とよく合います。油で温めると香りが移り、揚げものや脂の多い肉が別のものになる。意外なことに、果物にも使えます。りんごや洋梨のマリネに一枝、というのは成立します。
ところが乾かすと、その果物への道が閉じます。薬っぽさが強くなって、甘いものと噛み合わなくなる。他のシソ科ハーブは乾燥すると苦い側へ寄るだけですが、ローズマリーは使える相手そのものが変わります。
香りの行き先
地中海の針葉と、南インドの果実。まるで別世界の素材ですが、清涼感の成分を分け合っています。ローズマリーの薬っぽさが強すぎるとき、カルダモンを足すと涼しさの質が変わって和らぎます。
どちらも針葉樹の香りを持っています。ジンの香りづけに使われるジュニパーと、ローズマリー。ラムやジビエに二つを一緒に使うと、山の香りがはっきり立ち上がります。
同じシソ科どうしで、香りの成分を分け合っています。ただしローズマリーが一人で強いので、他を増やしてローズマリーを減らす配分になります。
針葉樹の香りを共有する組み合わせ。ラム、ジビエ、豚の塊肉といった強い相手に、山の香りで立ち向かいます。
ローズマリーの樟脳感を、別の質の涼しさで包む方向。薬っぽさが和らぎます。
入れどき
はじめ、油に枝ごと
フレッシュの枝
香りが油に移る。油そのものが調味料になる。
焼く前にすり込む
刻んだドライ/フレッシュ
焼き面で香ばしさに変わる。肉のクセと釣り合う。
途中で引き上げる
フレッシュの枝
入れっぱなしにすると苦みが出る。
低温の油に枝ごと入れて、香りが立ったら取り出します。この油でじゃがいもを揚げたり、肉を焼いたりする。ローズマリーの香りは水に溶けにくく、油がいちばんよく運びます。
塩と一緒に肉にすり込みます。フレッシュなら葉をこそげて刻み、ドライなら指ですり潰しながら。焼くと薬っぽさが飛んで、香ばしさの側が残ります。
煮込みには枝ごと入れて、香りが立ったら取り出します。ローズマリーは強いので、最後まで入れておく必要がありません。
他のシソ科ハーブの半分の量から始めてください。ローズマリーだけは、同じ感覚で使うと必ず入れすぎます。
ラム、豚の塊肉、鶏、じゃがいも、白いんげん豆。それにオリーブオイル。脂と澱粉を持つものに向きます。フレッシュならりんごや洋梨といった果物にも使えますが、ドライになると果物への道は閉じます。
繊細な白身魚や、出汁の効いた和食には強すぎます。ドライは甘いものと噛み合いません。
ローズマリーポテト。じゃがいもをくし形に切り、オリーブオイルと塩、フレッシュの枝を1本と一緒にオーブンへ。枝ごと焼いて、食べる前に取り除きます。
フレッシュは冷蔵で一週間ほど。乾燥に強い植物なので、束ねて吊るしておけば自然にドライになります。
ドライは緑が残っているものを。針状の葉が茶色くなっていたら香りも抜けています。
密閉して冷暗所へ。香りが強いので、他のスパイスと同じ容器や引き出しに入れると匂いが移ります。
Inspiceがローズマリーを使っているのは、スパイスカレー シンフォニーNo.3の一本だけです。しかも原材料表のいちばん最後。
この位置は意図的なものです。ローズマリーはシソ科でいちばん強く、少し多いだけで料理を薬っぽくします。カレーという十数種類が同居する場所では、いちばん薄く置くのが正解でした。
それでも抜くことはできません。No.3を「たべるブーケガルニ」と呼んでいるのは、オレガノとローズマリーが入っているからです。この二つがないと、ただのハーブ寄りのカレーになってしまいます。
ローズマリーは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
量です。ローズマリーはシソ科のハーブのなかで突出して強く、オレガノやバジルと同じ感覚で使うと必ず入れすぎます。半分から始めてください。
変わります。フレッシュは油と相性がよく、りんごや洋梨といった果物にも使えます。ドライになると薬っぽさが強くなり、果物には向かなくなる。使える相手そのものが変わる、珍しいハーブです。
針のような葉は火を通しても柔らかくなりません。枝ごと入れて最後に取り出すのが基本です。刻んで使うなら、できるだけ細かく。
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