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Inspiceスパイス事典シナモン
シナモン(シナモン)
Cinnamon

シナモン

「スパイスの女王」。甘い香りの代名詞

シナモンは、クスノキ科の常緑樹の樹皮を乾かしたスパイスです。日本で「シナモン」として売られているものの多くは、実際にはカシアという別の木の樹皮です。

シナモンとは

学名
Cinnamomum verum
科名
クスノキ科
使用部位
若い枝の内樹皮
原産地
スリランカ
主な産地
スリランカ、ミャンマー、セーシェル諸島
和名
セイロンニッケイ
別名
セイロンシナモン、"真の"シナモン
流通の形
スティック(ホール)/パウダー

若い枝を二年に一度刈り取り、外側を削って内側の樹皮だけを剥ぎ、乾かしながら巻きます。細く、色が薄く、指で崩せるほどもろいものが上等とされます。

どんな香り

甘い香りがするのに、舐めても甘くありません。シナモンには甘味成分がないからです。それでも「甘い」と感じるのは、香りが甘さの記憶を呼ぶから。だからシナモンは、砂糖を増やさずに甘さを強く感じさせることができます。

カシアとの違いは、太さです。シナモンは軽く、柑橘のような爽やかさが前にある。カシアは濃く、太く、まっすぐ。どちらが上ということではなく、料理によって選ぶものです。りんごや焼き菓子にはシナモン、煮出すチャイにはカシアが向きます。

香りの主成分は水に溶けません。油とアルコール、それに蒸気が運びます。水だけで煮出しても、思ったほど香りが出ないのはこのためです。

香りの行き先

シナモン

意外に近い

シナモンには固有の香りがありません。持っている成分をすべて他のスパイスと分け合っている。甘い側にも、辛い側にも歩いていける理由です。

一緒に使うと伸びる

フローラルに開く

土と合わせる

シナモンの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

ブラックペッパー

辛さの素材と甘い香りの素材。別世界に見えますが、香りの成分を分け合っています。胡椒とシナモンを同じ鍋に入れると妙に落ち着くのは、このためです。

クミン

乾いた土と、甘い樹皮。組み合わせとしては意外ですが、土と甘さは対立しません。むしろ土が下に敷かれると、シナモンの温かみが長く続きます。

一緒に使うと伸びる素材

ウッディに寄せる ── オールスパイス、ブラックペッパー

甘い香りに樹木の乾いた側を足す方向。菓子ではなく料理でシナモンを使いたいとき、この二つが橋になります。肉の煮込みが得意分野です。

甘い香りを重ねる ── クローブ、スターアニス、アニス

甘さの層を厚くする方向。ただしクローブは強いので控えめに。スターアニスとアニスはリコリスの香りを持ち込むので、甘さの質そのものが変わります。

フローラルに開く ── カルダモン

甘さの上に花と柑橘を乗せる方向。重くなりがちなシナモンに、高さが出ます。果物を使った料理で効きます。

土と合わせる ── クミン

甘い香りの下に土を敷く。シナモンの温かみが長く続くようになります。北アフリカや中東の肉料理でこの組み合わせが多いのは、偶然ではありません。

料理への応用

入れどき

はじめ、油に

スティック

樹皮の奥から香りが出るまで時間がかかる。最初に入れる。

煮込みカレーピラフ

途中、蓋をして煮る

スティック

蒸気が香りを運び、鍋全体に回る。

ミルク煮ワイン煮果物のコンポート

最後、パウダーで

パウダー

甘い香りがまっすぐ立つ。加熱しないほうが強い。

トーストコーヒー焼き菓子
シナモンを、いつ入れるか

はじめ、油にスティック

弱火の油にスティックごと入れます。繊維質の樹皮から香りを引き出すには時間が要るので、他のどのスパイスよりも早く入れて構いません。折らずに入れて、最後に取り出すのが扱いやすい。

途中、蓋をして煮るスティック

香りは蒸気にも乗ります。蓋をしてことこと煮ると、上から降りてきた香りが全体に行き渡る。牛乳やワインで煮るなら、この方法がいちばん確実です。

最後、パウダーでパウダー

仕上げに振ります。パウダーは加熱すると急速に香りを失うので、火から下ろしてから。砂糖と混ぜておくと均一に散らせます。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほどスティック1/2本、またはパウダー小さじ1/4甘さがわずかに強く感じられる。シナモンとは気づかれない
効かせるスティック1本、またはパウダー小さじ1/2シナモンの香りだとわかる。ふだんはここ
主役にするスティック2本、またはパウダー小さじ1シナモンの料理になる

砂糖を減らしたいときの助けになります。甘味を足さずに、甘さの感じ方だけを上げられるからです。ただし多すぎると渋みが出ます。

この食材と合う理由

りんご、芋類、かぼちゃ、赤ワイン、チョコレート。もともと甘い香りを持っている食材と組むと、その甘さが増幅されます。逆に肉と合わせるときは、胡椒やクミンを添えて甘さ一辺倒にしないのがコツです。

淡白な白身魚や、すっきりした出汁の料理には向きません。シナモンの甘い香りが料理の輪郭を鈍らせます。

うまくいかないときの直し方

  • 香りが出ない時間と油が足りていません。樹皮の奥から出てくるまでには時間がかかります。早めに入れて、油かアルコールを添えてください
  • 渋い・苦い入れすぎか、煮すぎです。スティックは香りが出たら取り出して構いません
  • 買ったものがシナモンか自信がない何層にも巻かれていて指で崩せるならシナモン、一枚の厚い樹皮が硬く丸まっているならカシアです

一皿の設計例

シナモンソルト。塩とパウダーを4対1で混ぜるだけです。素揚げしたかぼちゃや里芋にふると、甘さが立ち上がります。砂糖は使っていません。

選び方・保存

パウダーは半年ほどで香りを失います。スティックなら一年は保ちます。買うならスティックのほうが確実です。

色が薄く、細く、もろいものほど上等とされます。何層にも巻かれていて、指で押すとぱりっと崩れる。これがシナモンの見分け方です。

密閉して冷暗所へ。香りの成分は揮発しやすいので、大袋よりも使い切れる量を。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceがシナモンを使っているのは、フレアラインMELLOW FIREの一本だけです。ほかの商品ではカシアを使っています。

使い分けの理由は太さです。チャイのように煮出して飲むものには、まっすぐ濃いカシアが要る。MELLOW FIREはカカオニブの香ばしさとハバネロの熱を同居させる設計なので、そのあいだに架ける橋には、軽くて柑橘のあるシナモンのほうが合いました。

同じ一本にクローブとオールスパイスも入れてあります。この三つは香りの成分を分け合っている仲間で、束ねると甘さの層が厚くなる。カカオの苦みを受け止めるための厚みです。

シナモンが働いている商品

シナモンは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

シナモンとカシアは何が違いますか?

別の木です。シナモンはスリランカ産のセイロンニッケイ、カシアは中国やベトナム産の別種。シナモンは軽く柑橘の爽やかさがあり、カシアは濃く太い香りです。日本で安価に売られているものの多くはカシアです。

スティックとパウダー、どちらを買えばいいですか?

スティックです。香りの保ちが倍以上違いますし、煮込みに入れて最後に取り出すという使い方ができます。パウダーが必要なら、そのつどおろし金で削るのがいちばん香ります。

シナモンは甘いのですか?

香りは甘いですが、味に甘さはありません。舐めても砂糖のような甘味は感じられない。それでいて他の素材の甘さを強く感じさせるので、砂糖を減らしたいときの助けになります。

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