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Inspiceスパイス事典ターメリック
ターメリック(ターメリック(ウコン))
Turmeric

ターメリック

カレー色の源。土のような穏やかな香り

ターメリックは、ショウガ科の多年草の根茎を乾かして挽いたスパイスです。カレーのあの黄色は、ほとんどがこの色です。

ターメリックとは

学名
Curcuma longa
科名
ショウガ科
使用部位
根茎
原産地
インド
主な産地
インド(世界の粉末生産の大半)、中国、タイ
和名
ウコン(鬱金)
別名
インディアンサフラン
流通の形
パウダー(生の根茎も出回る)

サフランに代わる黄色として「インディアンサフラン」とも呼ばれてきました。色は確かに似ています。ただし香りはまったく別のもので、代用にはなりません。

どんな香り

土の香りです。ごぼうを土から抜いたときのあの匂いに近い。奥にうっすら甘さがあり、そして辛さはまったくありません。色が強いので刺激的に見えますが、香りはむしろ地味な部類です。

単独で使うと土臭さだけが前に出ます。これはターメリックの欠点ではなく性質で、他のスパイスと組むことを前提にした素材だと考えたほうが正確です。ターメリックだけを増やしても、料理はよくなりません。

油で温めると変わります。色が広がり、香りの角が取れて、土が甘い方向へ動く。生のまま振りかけたときとは別のスパイスのようになります。

香りの行き先

ターメリック

意外に近い

ターメリックの香りは、他のスパイスにほとんど見られない固有のものです。だから代わりが利かない。そのかわり単独では立ちすぎるので、必ず誰かと組ませます。

一緒に使うと伸びる

ターメリックの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

スターアニス

甘いリコリスの香りで、土のターメリックとは正反対に見えます。ところが清涼感の側で通じている。中華の甘い煮込みにターメリックがなじむのは、このためです。

パプリカ

同じ土の香りでも、こちらは焼けた土です。ターメリックが湿った土なら、パプリカは日に当たって乾いた土。重ねると土が一枚ではなく二枚になり、厚みが出ます。

一緒に使うと伸びる素材

土に深みを足す ── クミン、パプリカ、ブラックカルダモン

ターメリックの土に、別の角度の土を重ねる方向。クミンは乾いた土、パプリカは焼けた土、ブラックカルダモンは燻された土です。三つとも違う土なので、重ねると平面が立体になります。

柑橘で軽くする ── カルダモン、コリアンダー

土が重いと感じるときの一手。コリアンダーはたっぷり使って構いません。ターメリックの土臭さが前に出すぎるのを、明るさで引き戻します。

辛みを重ねる ── ジンジャー、ブラックペッパー

同じショウガ科のジンジャーとは、香りの成分を三つ分け合っています。血のつながった相手なので、混ぜても違和感が出ません。黒胡椒はそこに別種の刺激を足します。

料理への応用

入れどき

はじめ、油に

パウダー

色と香りが油に溶けて全体へ広がる。角が取れる。

カレー炒め物ピラフ

途中、水分に

パウダー

苦みが穏やかになり、色が澄む。

煮込みスープ豆料理

最後、乳と合わせて

パウダー

脂肪が土の角を包み、甘い側だけが残る。

ホットミルクラテヨーグルト
ターメリックを、いつ入れるか

はじめ、油にパウダー

弱火の油に入れて、混ぜながら短く温めます。色素も香りも油に溶けるので、最初に油と合わせると全体への回り方がまるで違う。ただし粒子が細かく焦げやすいので、目を離さないこと。

途中、水分にパウダー

具材に絡めてから水分を加えます。長く煮るほど土臭さは落ち着いていきます。急いで色をつけたいときはここで足しても構いません。

最後、乳と合わせてパウダー

温めた牛乳や豆乳に溶かします。乳脂肪がターメリックの土臭さを包むので、単独では飲みにくい香りが穏やかになる。胡椒と生姜を少し足すと、香りに芯が通ります。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほど小さじ1/4色がつく。香りとしては気づかれない
効かせる小さじ1/2土の香りがわかる。ふだんはここ
主役にする小さじ1ターメリックの料理になる。他のスパイスとの併用が前提

入れすぎると土臭さだけが残ります。色は増えても香りはよくなりません。色が足りないと感じたときこそ、量ではなく油と加熱を疑ってください。

この食材と合う理由

芋類、豆、卵、クリーム、マヨネーズ。油脂と澱粉を持つ食材が得意です。ターメリックの土は、脂肪に包まれると角が取れて甘い側だけが残る。じゃがいもとターメリックが世界中で組まれているのは、この相性です。

繊細な出汁の料理や、白身魚をそのまま味わう料理には向きません。ターメリック単独だと土臭さが際立ちます。使うなら必ず他のスパイスと一緒に。

うまくいかないときの直し方

  • 土臭いターメリック単独になっています。クミンやコリアンダーを足すと引き締まります。減らすより、足すほうが早い
  • 色が赤茶になった重曹などアルカリ性のものと反応しています。レモンや酢を少し足すと黄色に戻ります
  • 色が黒ずんだ鉄の鍋やスプーンです。ステンレスやホーローに替えてください

一皿の設計例

ターメリックライス。米を炊くときに、小さじ1/2と油を小さじ1。それだけで炊き上がりが黄色になり、土の香りが立ちます。カレーの日でなくても成立します。

選び方・保存

光で色素が分解します。透明な瓶なら、箱や引き出しの中へ。色が褪せたものは香りも一緒に落ちています。

衣服や樹脂製のまな板につくと、まず落ちません。粉が舞いやすいので、シンクの上で開けるのが安全です。

生の根茎も出回っています。生姜と同じように扱えますが、断面に触れると指がしばらく黄色くなります。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceは、ターメリックを5つのブレンドに使っています。黄色をつけるためではなく、土の香りを置くために使っています。

スパイスカレーでは、クミンとパプリカという別の土と重ねてあります。同じ土でも乾いた土・焼けた土・湿った土と質が違うので、三つ並べると香りに層ができる。これは最初からそうなるように組んだ配置です。

Golden CHAInstantでは、ターメリックが表の上位に来ます。ここではジンジャーと胡椒を同じ一杯に入れてあります。土だけにさせないための組み合わせです。

よくある質問

ターメリックはサフランの代用になりますか?

色は近づきますが、香りは別物です。サフランの香りはこのスパイスにしかないもので、置き換えはできません。色だけが目的ならターメリックで足ります。

ウコンとターメリックは同じものですか?

同じです。ウコンは和名、ターメリックは英名。ただし「春ウコン」「紫ウコン」として売られているものは別種のことがあるので、料理に使うなら「秋ウコン」またはターメリック表記のものを選んでください。

色が飛んでしまうのはなぜですか?

光で分解します。また重曹などアルカリ性のものに触れると赤茶に変わり、鉄に触れると黒ずみます。暗所に保管し、酸(レモンや酢)を少し添えると黄色を保ちやすくなります。

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