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カレーの「残り香」の正体といわれる甘い葉
カスリメティは、フェヌグリークの葉を乾かしたものです。種子と同じ植物ですが、香りはずっと軽やかで、料理の仕上げに使われます。
インド料理店で食べたカレーの、あの「残り香」。家でつくると出せない何か。その正体がカスリメティであることは、意外と知られていません。
干し草です。刈りたての草を思わせる、甘く乾いた匂い。種子のメープルのような濃さはなく、もっと軽く、青い。手のひらで揉むと、その香りが一気に立ち上がります。
面白いのは、口に入れる前に効くことです。皿を運んできたとき、湯気と一緒に立ちのぼる香り。カスリメティは味を変えるというより、料理の第一印象を変えます。
そして最後に入れます。煮込むと香りが飛んでしまうので、火を止めてから。この一点さえ守れば、家のカレーが店の匂いになります。
香りの行き先
インドの葉と、南米の種子。どちらも「刈りたての干し草」に喩えられる香りを持っています。産地も用途も違うのに、同じ言葉で説明される。香りの世界では、こういう一致がときどき起きます。
どちらも乾かすことで香りが生まれた素材です。海の乾物と、畑の乾物。旨みと香りという役割の違いはありますが、「乾いたものにしか出せない匂い」という点で並びます。
カレーの土台の上に、最後の一枚として乗せる方向。土と柑橘の上に干し草の香りが来ると、いわゆる「店の匂い」になります。
バターチキンやコルマのような、クリームを使うカレーの方向。乳脂肪が干し草の香りをよく運びます。
葉のハーブどうし。インド料理以外でも、乾いた青さが欲しいときに使えます。
入れどき
火を止めてから
手で揉んだドライ
干し草の香りが立ち上がる。ここが本領。
仕上げの油に
ドライ
油に香りが移り、全体に回る。
生地に混ぜる
ドライ
焼き面で香ばしくなる。
手のひらに乗せて、もう片方の手で揉みながら散らします。乾いた葉は揉むことで香りが出る。煮込むと飛ぶので、必ず最後に。
仕上げに熱した油へさっとくぐらせて回しかける。インドの調理法で、短時間だけ熱を当てて香りを立てます。
パン生地に混ぜ込みます。メティパラタというインドのパンがこの形です。焼くと干し草の香りが香ばしさに変わります。
葉なのでかさがあります。ぎゅっと押し込まず、ふわりと計ってください。種子と違って苦みは出にくい素材です。
鶏、豆、じゃがいも、なす、クリーム、バター、トマト。インド料理の食材と広く合います。とくにクリームを使うカレーとの相性が確かで、バターチキンにカスリメティという組み合わせは、あの料理の輪郭そのものです。
和食や、香りの淡い料理には強すぎます。乾いた青さがはっきりしているためです。
いつものカレーに、最後のひとつまみ。火を止めてから、手のひらで揉みながら小さじ1。それだけで、家のカレーがインド料理店の匂いになります。
乾いた緑の葉です。かさばりますが軽い。緑が残っているものを選んでください。
半年から一年で香りが落ちます。揉んで香りが立たなくなったら替えどきです。
密閉して冷暗所へ。湿気を吸うと固まります。
Inspiceがカスリメティを使っているのは、ディッシュ シンフォニーNo.2の一本だけです。ただし原材料表の三番目、上位です。
No.2はクミンとターメリックの土が主役で、そこへ台湾の馬告という柑橘を対に置いた一本です。土と柑橘という遠い二つを、カスリメティの干し草の香りが繋いでいます。
同じ植物の種子であるフェヌグリークは、Inspiceではカレーに使っています。種子はカレーの土台に、葉はディッシュの仕上げの香りに。一つの植物を、役割で分けて使っています。
カスリメティは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
同じ植物です。種子がフェヌグリーク、葉を乾かしたものがカスリメティ。種子はメープルのような濃い香りで料理の最初に入れ、葉は干し草のような軽い香りで最後に入れます。使いどころが正反対です。
カスリメティを試してみてください。インド料理店のカレーの「残り香」の正体である可能性が高い素材です。火を止めてから、手のひらで揉みながら加えるのがコツです。
乾いた葉は、揉むことで細胞が壊れて香りが出るからです。そのまま散らすのと、揉んでから散らすのとでは、立ち方がまるで違います。
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