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Inspiceスパイス事典チムール
チムール(チムール)
Timur Pepper

チムール

ネパールの山椒。長く続く柑橘の余韻

チムールは、ヒマラヤの高地に育つサンショウ属の実です。花椒や山椒と同じ仲間ですが、しびれではなく香りが主役という、変わった立ち位置にいます。

チムールとは

学名
Zanthoxylum armatum
科名
ミカン科
使用部位
果皮
原産地
ヒマラヤ地域
主な産地
ネパール、ブータン、インド北部
和名
なし(ヒマラヤ山椒とも)
別名
ティムル、ネパール山椒
流通の形
ホール(果皮)

ネパールやブータンの料理で日常的に使われてきました。標高1000メートルを超える斜面に自生し、高いところで採れたものほど香りが濃いと言われます。

どんな香り

グレープフルーツです。サンショウ属だと言われずに嗅いだら、柑橘の一種だと思うかもしれません。花のような甘さも重なって、山椒よりずっと華やかです。

しびれもありますが、脇役です。花椒や山椒がしびれを主役にしているのに対して、チムールは香りが前に立つ。同じ属のなかで、主役と脇役が入れ替わっている珍しい種です。

標高が高いほど香りが濃くなると言われます。実際、高地で採れたものは香りの成分の割合が大きく変わる。同じ木でも、育った高さで別の顔になる素材です。

香りの行き先

チムール

意外に近い

チムールは花椒・山椒と同じサンショウ属ですが、主役と脇役が入れ替わっています。花椒はしびれが主役で香りが脇役、チムールは香りが主役でしびれが脇役。同じ属のなかで、これほど性格の違う種が並ぶのは珍しいことです。

一緒に使うと伸びる

しびれを足す

甘さと組む

チムールの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

コリアンダー

ヒマラヤの実と、地中海の種子。どちらも柑橘と花の香りを持ち、しかも刺激が控えめです。方向がよく似ているので、重ねると香りが素直に厚くなります。

レモンピール

山椒の仲間なのに、いちばん近い相手が柑橘の皮。チムールがミカン科であることを思い出させる関係です。サンショウ属は本来ミカンの親戚なのだと、この組み合わせが教えてくれます。

一緒に使うと伸びる素材

柑橘を重ねる ── レモンピール、馬告、こぶみかんの葉

角度の違う柑橘を並べる方向。チムールはグレープフルーツ側にあり、レモンやライムと重ねると柑橘に幅が出ます。

しびれを足す ── 四川青山椒、赤花椒

チムールはしびれが控えめなので、必要なら同属の別種を足します。香りはチムール、しびれは花椒と役割を分ける考え方です。

甘さと組む ── カシア、トンカ豆

チャイの組み立て。甘く重い香りの上に、グレープフルーツの明るさを乗せます。

料理への応用

入れどき

はじめ、砕いて油に

砕いたホール

柑橘が油に移る。しびれは強く出ない。

カレー炒め物ネパール料理

煮出す

ホール

液体に柑橘と花の香りが移る。

チャイスープ

最後、挽いてふる

パウダー

グレープフルーツの香りがまっすぐ立つ。

焼き魚サラダ
チムールを、いつ入れるか

はじめ、砕いて油に砕いたホール

軽く潰してから。花椒ほどしびれないので、量を気にせず使えます。黒い種は苦いので取り除いてください。

煮出すホール

牛乳や湯と一緒に。加熱してもしびれが出すぎないので、飲みものに使いやすい山椒の仲間です。

最後、挽いてふるパウダー

火を止めてから。香りが主役の素材なので、加熱しないほうが持ち味が出ます。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほど小さじ1/8料理が明るくなる。山椒とは気づかれない
効かせる小さじ1/4柑橘と花の香りがわかる。ふだんはここ
主役にする小さじ1/2チムールの料理になる

花椒より多く使って構いません。しびれが控えめなので、香りが欲しい量まで入れられます。

この食材と合う理由

鶏、白身魚、豆、じゃがいも、牛乳。淡白なものと、乳製品。チムールは柑橘の香りが主役なので、素材を覆わずに明るさだけを乗せられます。ネパールでは豆料理や鶏に使われてきました。

味の濃い赤身肉や、香りの強いスパイスと組むと埋もれます。柑橘は繊細な側の素材です。

うまくいかないときの直し方

  • しびれないそれが正常です。チムールはしびれが脇役で、柑橘と花の香りが主役です
  • 苦い黒い種が混じっています。香りは果皮にあります
  • 花椒と同じに使ったら物足りない目的が違います。しびれが欲しいなら花椒を、香りが欲しいならチムールを

一皿の設計例

鶏とじゃがいものネパール風。鶏と芋を炒めて塩、仕上げに砕いたチムール。グレープフルーツのような香りが立って、いつもの炒めものが山の料理になります。

選び方・保存

赤褐色の小さな果皮です。黒い種が少ないものを選んでください。

香りが主役の素材なので、香りの落ちがそのまま価値の落ちになります。少量ずつ買って回してください。

密閉して冷暗所へ。冷凍すると香りが長持ちします。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceは、チムールを10のブレンドに使っています。チャイ全種と、ディッシュ シンフォニーNo.5です。

チャイに山椒の仲間を入れる、というのは珍しい選択かもしれません。ただしチムールはしびれが脇役なので、飲みものに入れてもしびれません。入るのは柑橘と花の香りだけです。

同じチャイには馬告も入っています。台湾のレモンと、ヒマラヤのグレープフルーツ。角度の違う柑橘を二つ重ねることで、甘く重くなりがちなチャイに幅を出しています。

チムールが働いている商品

チムールは、Inspiceの10のブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

チムールは花椒や山椒の仲間ですか?

同じミカン科サンショウ属の別種です。ただし花椒や山椒がしびれを主役にするのに対して、チムールは柑橘と花の香りが主役でしびれは脇役。同じ属のなかで、主役と脇役が入れ替わっています。

しびれますか?

わずかにしびれますが、花椒ほどではありません。飲みものに入れてもしびれを感じないくらいなので、香りが目的なら量を気にせず使えます。

どんな香りですか?

グレープフルーツです。そこに花のような甘さが重なります。サンショウ属だと言われずに嗅いだら、柑橘の一種だと思うかもしれません。

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