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Inspiceスパイス事典飛騨高原青山椒
飛騨高原青山椒(ひだこうげんあおざんしょう)
Hida Highland Green Sansho

飛騨高原青山椒

飛騨の山で育つ、清冽な和の痺れ

飛騨高原青山椒は、日本の山椒です。中国の花椒とは別の種で、しびれよりも香りのほうが前に出ます。

飛騨高原青山椒とは

学名
Zanthoxylum piperitum
科名
ミカン科
使用部位
未熟な果皮
原産地
日本
主な産地
岐阜県・飛騨高山周辺
和名
山椒(さんしょう)
別名
青山椒、実山椒
流通の形
ホール(果皮)/パウダー/水煮

日本では山椒を「辛味を足すため」ではなく「香りを楽しむため」に使ってきました。うなぎに粉山椒、木の芽を椀に浮かべる。中国とは目的がまるで違います。

どんな香り

澄んでいます。中国の花椒がしびれを主役にするとすれば、日本の山椒は香りが主役です。柑橘と青葉の、透きとおった匂い。しびれはありますが、控えめで上品です。

高原で育つと、この澄み方が強く出ます。昼夜の寒暖差が香りを締めるからで、飛騨のような標高のある土地の山椒が珍重されてきたのは、そのためです。

そして、和食の脂と組みます。うなぎ、鰯、豚の角煮。日本の山椒が脂の強い料理に添えられてきたのは、この清冽な香りが重さを切るからです。

香りの行き先

飛騨高原青山椒

意外に近い

山椒の仲間は、しびれだけが自分のものです。香りの成分はローリエ、ジュニパー、カルダモンと分け合っている。しびれは四川のもの、香りは世界と繋がっている——ここが山椒のいちばん面白いところです。

一緒に使うと伸びる

和の香りを重ねる

しびれを足す

飛騨高原青山椒の香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

カルダモン

日本の山と南インド。まるで縁がなさそうですが、香りの成分を分け合っています。どちらも柑橘と清涼感を持つ素材で、和の椀物にカルダモンを落としても壊れないのは、この近さがあるからです。

レモンピール

同じミカン科です。山椒がミカンの仲間だと言われると意外に聞こえますが、あの澄んだ香りの正体は柑橘。レモンの皮と組ませると、山椒の香りの出所がよくわかります。

一緒に使うと伸びる素材

和の香りを重ねる ── 昆布、椎茸

旨みと香り。山椒は旨みを持たないので、昆布や椎茸と組ませると和食の骨格になります。

柑橘を伸ばす ── レモンピール、馬告、チムール

山椒のなかにある柑橘の側を引き出す方向。しびれを増やさずに、香りだけが明るくなります。

しびれを足す ── 四川青山椒、赤花椒

日本の山椒は香りが主役でしびれが控えめなので、しびれが欲しければ中国の花椒を少し足します。役割を分けて重ねる考え方です。

料理への応用

入れどき

最後、粉をふる

パウダー

澄んだ香りがまっすぐ立つ。ここが本領。

うなぎ焼き魚汁物

たれに漬け込む

ホール/水煮

甘辛い味に香りが移る。

佃煮たれ煮魚

手で叩いて浮かべる

木の芽

香りが立ち上がる。加熱ゼロ。

椀物和え物
飛騨高原青山椒を、いつ入れるか

最後、粉をふるパウダー

火を止めてから、あるいは食べる直前に。日本の山椒は香りが主役なので、加熱すると意味がなくなります。うなぎに粉山椒という形が、この使い方の完成形です。

たれに漬け込むホール/水煮

実山椒を醤油やみりんと一緒に。長く漬けるほど香りが移ります。ちりめん山椒がこの形です。

手で叩いて浮かべる木の芽

葉を手のひらに乗せて、もう片方の手で叩きます。細胞が壊れて香りが立つ。日本料理の基本的な所作のひとつです。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほど粉ひとつまみ料理が澄む。山椒とは気づかれない
効かせる粉小さじ1/8山椒の香りだとわかる。ふだんはここ
主役にする粉小さじ1/4山椒の料理になる

中国の花椒よりずっと少量で足ります。日本の山椒は香りが主役なので、しびれを感じるほど入れると入れすぎです。

この食材と合う理由

うなぎ、鰯、豚の角煮、筍、豆腐、味噌。脂の強い和食と、春の野菜。山椒は脂を切るのが得意で、しかも旨みを邪魔しません。出汁の効いた料理に添えられるスパイスとしては、ほとんど唯一の存在です。

洋風の煮込みや、香りの強いスパイスと組むと埋もれます。澄んだ香りが身上なので、静かな料理でこそ活きます。

うまくいかないときの直し方

  • 香りがしない粉が古い可能性が高いです。山椒の粉は香りの落ちが早く、開封から半年で別物になります
  • えぐい黒い種が混じっています。日本の山椒でも、香りは果皮にあります
  • しびれが強い入れすぎです。日本の山椒はしびれを感じる手前が適量。しびれたら次から半分に

一皿の設計例

豆腐に山椒。冷奴に醤油と、粉山椒をひとつまみ。それだけです。薬味を何も足さなくても、山椒の香りだけで一皿になります。

選び方・保存

粉は香りの落ちが特に早く、開封から半年を目安に。少量ずつ買うのが正解です。

実山椒は冷凍が確実です。旬の時期に買って冷凍しておけば、一年使えます。

密閉して冷暗所へ。香りが強いので、他の乾物と一緒にしないでください。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceが飛騨高原青山椒を使っているのは、HOT SPICE「痺辛」の一本だけです。原材料表の最後、ごく少量。

痺辛の主役は四川青山椒です。中国の、しびれの強い青い花椒。そこへ日本の山椒を最後にひとつ加えてあります。

しびれをこれ以上足す必要はありません。加えているのは香りです。四川のしびれの上に、飛騨の澄んだ柑橘を一枚だけ乗せる。同じサンショウ属の、目的の違う二つを重ねた配置です。

飛騨高原青山椒が働いている商品

飛騨高原青山椒は、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

日本の山椒と中国の花椒は何が違いますか?

同じミカン科サンショウ属の別種です。中国の花椒はしびれが強く、辛味を足す目的で使われます。日本の山椒は香りが主役で、しびれは控えめ。同じ仲間なのに、使う目的そのものが違います。

粉山椒の香りがすぐ落ちます

山椒の粉は香りの落ちが特に早いスパイスです。開封から半年で別物になるので、少量ずつ買って回すのがいちばん確実です。実山椒なら冷凍で一年もちます。

高原で育つと何が違うのですか?

昼夜の寒暖差が香りを締めます。標高のある土地の山椒が珍重されてきたのは、この澄んだ香りのためです。

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