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辛くない唐辛子。色と甘い香りの画家
パプリカは、唐辛子と同じ種の、辛くない品種を乾かして挽いたスパイスです。辛さがないぶん、香りと色だけを取り出せます。
中南米からヨーロッパへ渡り、ハンガリーとスペインで独自に育ちました。スペインでは燻製にする製法が生まれ、ピメントンと呼ばれています。
土の香りと、焦げた甘さ。それに酸味が乗っています。乾かして焙る工程で生まれる香りなので、生のパプリカとはまるで別のものです。野菜としてのパプリカを思い浮かべると、面食らうかもしれません。
土・酸・甘さの三つを一本で持っているスパイスは、そう多くありません。だからパプリカは単独でも料理を成立させられます。トマトを使った煮込みに少量足すと味に深みが出るのは、この三点セットが効くからです。
そして燻製タイプは別のスパイスだと考えたほうがいいくらい違います。煙の香りが主役になり、肉を焼かずに焼いた印象をつくれる。持っていると料理の逃げ道が増えます。
香りの行き先
赤い粉と茶色い粉。菓子と料理で棚も分かれていますが、香りの成分を多く共有しています。カカオの土の香りと、パプリカの焼けた土。メキシコのモレソースがカカオと唐辛子を煮るのは、この近さの上に成り立っています。
炒りごまとパプリカは、どちらも焙る工程で香ばしさが生まれます。生まれ方が同じなので、重ねると香ばしさが厚くなる。ごまの油分がパプリカの土を運ぶ、という関係でもあります。
煙と焙りの方向へ。燻製タイプでなくても、この組み合わせで煙の印象をつくれます。肉を焼いていない料理に、焼いた香りを足したいとき。
パプリカの持つ焦げた甘さを引き出す方向。ハンガリーの煮込みでキャラウェイが定番なのは、この相性です。
多くの香りを共有している組み合わせです。重ねると料理の底が一段深くなります。少量で効きます。
パプリカのなかにある酸の側を引き出す方向。重くなりがちな料理が軽くなります。
入れどき
はじめ、油に
パウダー
色素が油に溶けて全体が赤くなる。香りも広がる。
途中、水分に
パウダー
酸味と甘さが全体に回る。焦げる心配がない。
最後、ふりかけて
燻製パウダー
煙の香りがまっすぐ立つ。加熱しないのが要点。
弱火の油で短く。色素も香りも油に溶けるので、最初に油と合わせるのが基本です。ただし——粒子が細かく、スパイスのなかでもとくに焦げやすい。目を離さず、混ぜ続けてください。
水分を加えてから足すこともできます。色は少し弱くなりますが、焦がす危険がない。慣れないうちはこちらが安全です。
火から下ろしてから振ります。燻製タイプの煙の香りは加熱で飛ぶので、仕上げに使うのがいちばん効きます。
辛くないので、量を増やしても辛さで失敗することはありません。失敗するとしたら焦がしたときだけです。
鶏、豚、じゃがいも、トマト、パン。それに卵。油脂を持つ食材と組むと、色も香りもよく回ります。トマトを使った煮込みに少量入れると味に深みが出るのは、パプリカの酸がトマトの酸と重なり、そこへ土と甘さが加わるからです。
菓子には使われません。甘い側の香りを持っているのに、焙った土の印象が強いためです。
ゆで卵に燻製パプリカ。半分に切ったゆで卵に、オリーブオイルと塩、そして燻製パプリカをひとふり。焼いてもいないのに、燻した香りがします。
光と熱で色が褪せます。色が褪せたものは香りも一緒に落ちているので、見た目で状態がわかる数少ないスパイスです。
甘口・ビタースイート・燻製・辛口と種類があります。まず一つなら甘口を。燻製は用途が絞られますが、あると料理の逃げ道になります。
密閉して冷暗所へ。半年ほどで色が変わってきます。大袋よりも、使い切れる量を選んでください。
Inspiceは、パプリカを5つのブレンドに使っています。赤い色のためではなく、辛くない土と焦げた甘さを置くために使っています。
Inspiceのブレンドには唐辛子を使っていないものが多くあります。そこで「赤い」「焙った」「土の」という要素が必要になったとき、パプリカが担当します。同じ種でありながら辛さを持たない——この性質が要るから選んでいる素材です。
the cocoaにも、表の後半にごく少量入れてあります。カカオとパプリカは香りの成分を多く共有しているので、重ねると底が深くなる。カカオの甘さを陰で支えるための一滴です。
パプリカは、Inspiceの5つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
同じ種の別品種です。パプリカは辛さの少ない品種で、辛さはわたと種をどれだけ除くかでも変わります。植物としては同じものなので、香りの成分も共通しています。
焦げています。粒子が細かく、スパイスのなかでもとくに焦げやすい。油で炒めるときは弱火で短く、混ぜ続けてください。慣れないうちは、水分を加えてから足すほうが安全です。
樫の薪で燻してから挽いたものです。煙の香りが主役になるので、別のスパイスと考えたほうがいいくらい違います。焼いていない料理に焼いた香りを足せるので、持っていると便利です。
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