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Inspiceスパイス事典カスリメティ
カスリメティ(カスリメティ)
Kasuri Methi (Dried Fenugreek Leaves)

カスリメティ

カレーの「残り香」の正体といわれる甘い葉

カスリメティは、フェヌグリークの葉を乾かしたものです。種子と同じ植物ですが、香りはずっと軽やかで、料理の仕上げに使われます。

カスリメティとは

学名
Trigonella foenum-graecum
科名
マメ科
使用部位
葉(乾燥)
原産地
地中海東部から西アジア
主な産地
インド
和名
コロハの葉
別名
カスーリメティ、ドライメティリーブス
流通の形
ドライ(葉)

インド料理店で食べたカレーの、あの「残り香」。家でつくると出せない何か。その正体がカスリメティであることは、意外と知られていません。

どんな香り

干し草です。刈りたての草を思わせる、甘く乾いた匂い。種子のメープルのような濃さはなく、もっと軽く、青い。手のひらで揉むと、その香りが一気に立ち上がります。

面白いのは、口に入れる前に効くことです。皿を運んできたとき、湯気と一緒に立ちのぼる香り。カスリメティは味を変えるというより、料理の第一印象を変えます。

そして最後に入れます。煮込むと香りが飛んでしまうので、火を止めてから。この一点さえ守れば、家のカレーが店の匂いになります。

香りの行き先

カスリメティ

意外に近い

種子と葉で、同じ植物なのに使いどころがまったく違います。種子は最初に入れてカレーの土台をつくり、葉は最後に入れて第一印象をつくる。一つの植物から、料理の最初と最後を担う二つの素材が採れます。

一緒に使うと伸びる

乳製品と組む

青さを重ねる

カスリメティの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

トンカ豆

インドの葉と、南米の種子。どちらも「刈りたての干し草」に喩えられる香りを持っています。産地も用途も違うのに、同じ言葉で説明される。香りの世界では、こういう一致がときどき起きます。

昆布

どちらも乾かすことで香りが生まれた素材です。海の乾物と、畑の乾物。旨みと香りという役割の違いはありますが、「乾いたものにしか出せない匂い」という点で並びます。

一緒に使うと伸びる素材

カレーの仕上げに ── クミン、コリアンダー、ターメリック

カレーの土台の上に、最後の一枚として乗せる方向。土と柑橘の上に干し草の香りが来ると、いわゆる「店の匂い」になります。

乳製品と組む ── カシア、カルダモン

バターチキンやコルマのような、クリームを使うカレーの方向。乳脂肪が干し草の香りをよく運びます。

青さを重ねる ── マジョラム、バジル

葉のハーブどうし。インド料理以外でも、乾いた青さが欲しいときに使えます。

料理への応用

入れどき

火を止めてから

手で揉んだドライ

干し草の香りが立ち上がる。ここが本領。

カレー豆料理バターチキン

仕上げの油に

ドライ

油に香りが移り、全体に回る。

カレー炒め物

生地に混ぜる

ドライ

焼き面で香ばしくなる。

ナンパラタパン
カスリメティを、いつ入れるか

火を止めてから手で揉んだドライ

手のひらに乗せて、もう片方の手で揉みながら散らします。乾いた葉は揉むことで香りが出る。煮込むと飛ぶので、必ず最後に。

仕上げの油にドライ

仕上げに熱した油へさっとくぐらせて回しかける。インドの調理法で、短時間だけ熱を当てて香りを立てます。

生地に混ぜるドライ

パン生地に混ぜ込みます。メティパラタというインドのパンがこの形です。焼くと干し草の香りが香ばしさに変わります。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほど小さじ1/2料理の匂いが変わる。カスリメティとは気づかれない
効かせる小さじ1干し草の香りだとわかる。ふだんはここ
主役にする大さじ1インド料理店の匂いになる

葉なのでかさがあります。ぎゅっと押し込まず、ふわりと計ってください。種子と違って苦みは出にくい素材です。

この食材と合う理由

鶏、豆、じゃがいも、なす、クリーム、バター、トマト。インド料理の食材と広く合います。とくにクリームを使うカレーとの相性が確かで、バターチキンにカスリメティという組み合わせは、あの料理の輪郭そのものです。

和食や、香りの淡い料理には強すぎます。乾いた青さがはっきりしているためです。

うまくいかないときの直し方

  • 香りがしない揉んでいません。乾いた葉は手のひらで揉むと香りが立ちます。あるいは煮込みすぎです
  • 苦い入れすぎか、古い可能性があります。種子ほど苦みは出にくいはずです
  • 家のカレーが店の味にならないカスリメティを最後に入れてみてください。あの「残り香」の正体である可能性が高いです

一皿の設計例

いつものカレーに、最後のひとつまみ。火を止めてから、手のひらで揉みながら小さじ1。それだけで、家のカレーがインド料理店の匂いになります。

選び方・保存

乾いた緑の葉です。かさばりますが軽い。緑が残っているものを選んでください。

半年から一年で香りが落ちます。揉んで香りが立たなくなったら替えどきです。

密閉して冷暗所へ。湿気を吸うと固まります。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceがカスリメティを使っているのは、ディッシュ シンフォニーNo.2の一本だけです。ただし原材料表の三番目、上位です。

No.2はクミンとターメリックの土が主役で、そこへ台湾の馬告という柑橘を対に置いた一本です。土と柑橘という遠い二つを、カスリメティの干し草の香りが繋いでいます。

同じ植物の種子であるフェヌグリークは、Inspiceではカレーに使っています。種子はカレーの土台に、葉はディッシュの仕上げの香りに。一つの植物を、役割で分けて使っています。

カスリメティが働いている商品

カスリメティは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

カスリメティとフェヌグリークは違うものですか?

同じ植物です。種子がフェヌグリーク、葉を乾かしたものがカスリメティ。種子はメープルのような濃い香りで料理の最初に入れ、葉は干し草のような軽い香りで最後に入れます。使いどころが正反対です。

家のカレーが店の味になりません

カスリメティを試してみてください。インド料理店のカレーの「残り香」の正体である可能性が高い素材です。火を止めてから、手のひらで揉みながら加えるのがコツです。

なぜ手で揉むのですか?

乾いた葉は、揉むことで細胞が壊れて香りが出るからです。そのまま散らすのと、揉んでから散らすのとでは、立ち方がまるで違います。

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