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Inspiceスパイス事典レモンピール
レモンピール(レモンピール)
Lemon Peel

レモンピール

皮にこそ宿る、レモンの香りの本体

レモンピールは、レモンの果皮です。レモンの香りは果汁ではなく皮にあります。搾ったあとの皮のほうが、じつは価値があります。

レモンピールとは

学名
Citrus limon
科名
ミカン科
使用部位
果皮
原産地
インド北東部からヒマラヤ南麓
主な産地
イタリア、スペイン、アメリカ、トルコ
和名
レモンの皮
別名
レモンゼスト(すりおろした表皮)
流通の形
ドライ/フレッシュ

柑橘の香りは、皮の表面にある小さな粒に詰まっています。レモンを絞ったときに霧のように飛ぶのが、その油です。

どんな香り

柑橘の標準です。誰もが「レモンの香り」として思い浮かべるものが、そのまま入っている。香りの成分の大半をひとつが占めていて、そのぶん迷いがありません。まっすぐ明るい。

大事なのは、酸味と香りは別のものだということです。レモンの酸っぱさは果汁にあり、香りは皮にある。だから皮だけを使えば、酸を足さずに柑橘の香りだけを乗せられます。料理の設計としては、ここがいちばん使える性質です。

そして白いワタには苦みがあります。すりおろすときは黄色い表面だけを。ここを深く削ると、香りより先に苦みが立ちます。

香りの行き先

レモンピール

意外に近い

レモンピールは、柑橘のなかで最も標準的な組成をしています。だから他の柑橘と組ませたとき、基準の位置に立てる。こぶみかんや馬告の個性は、レモンピールが隣にいるとよく見えます。

一緒に使うと伸びる

柑橘を重ねる

レモンピールの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

コリアンダー

果皮と種子。まるで違う素材ですが、コリアンダーの香りの中心には柑橘があります。レモンピールと組ませると、柑橘が二重になって奥行きが出る。どちらも刺激がないので、量を気にせず重ねられます。

カルダモン

清涼感の素材と、柑橘の素材。別の役割に見えますが、カルダモンの香りには柑橘の層があります。レモンピールが下から支えると、カルダモンの高さがよりはっきり出ます。

一緒に使うと伸びる素材

柑橘を重ねる ── こぶみかんの葉、馬告

同じ柑橘でも角度が違います。レモンピールが西洋の標準、こぶみかんが東南アジア、馬告が台湾。重ねると柑橘に奥行きが出ます。

甘さと組む ── フェンネル、タラゴン、アニス

酸を足さずに柑橘だけを乗せられるので、菓子でとくに効きます。甘い香りと明るさの組み合わせです。

熱と組む ── ハバネロ、ジンジャー、唐辛子

辛さの立ち上がりを、柑橘が軽くします。熱いのに重くない、という状態をつくれる組み合わせです。

料理への応用

入れどき

はじめ、油に

ドライ/すりおろし

香りが油に移り、全体に回る。

炒め物煮込みピラフ

漬け込む

ドライ

塩や砂糖、酒に香りが移る。

塩レモンシロップリキュール

最後、すりおろす

フレッシュの表皮

香りがまっすぐ立つ。加熱ゼロがいちばん強い。

パスタ焼き魚デザート
レモンピールを、いつ入れるか

はじめ、油にドライ/すりおろし

油と一緒に温めます。柑橘の香りは油に溶けるので、水だけの料理より確実に回ります。焦がすと苦みが出るので短く。

漬け込むドライ

塩や砂糖と一緒に漬けておきます。香りが移った塩は、それだけで調味料になる。日持ちもします。

最後、すりおろすフレッシュの表皮

皿の上で削ります。黄色い表面だけを、白いワタまで届かないように。加熱していないぶん、香りが最も鮮やかに立ちます。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほど1/4個分のすりおろし料理が明るくなる。レモンとは気づかれない
効かせる1/2個分レモンの香りだとわかる。ふだんはここ
主役にする1個分レモンの料理になる

酸味は増えません。酸っぱくせずに柑橘の香りだけを足せるので、多めに入れても料理のバランスが崩れにくい素材です。

この食材と合う理由

白身魚、鶏、えび、オリーブオイル、バター、クリーム、菓子。淡白なものと、脂のあるもの。レモンピールは酸を持ち込まないので、素材の味を変えずに香りだけを乗せられます。仕上げに使う素材として、いちばん扱いやすい部類です。

苦手な相手はほとんどありません。強いて言えば、香りの強いスパイスと組むと埋もれます。

うまくいかないときの直し方

  • 苦い白いワタまで削っています。黄色い表面だけを、浅く削ってください
  • 香りがしない加熱しすぎか、削ってから時間が経っています。すりおろしは削った瞬間から飛びはじめます
  • 酸っぱくしたくない皮だけを使えば酸味は増えません。酸は果汁、香りは皮です

一皿の設計例

レモンソルト。すりおろした表皮と塩を混ぜて、一日置くだけ。焼いた魚や鶏、ゆで野菜にふると、レモンを搾らなくても柑橘の香りがします。

選び方・保存

フレッシュを使うなら、ワックスや防カビ剤の使われていないものを。皮を食べる前提なので、ここは確認する価値があります。

ドライは香りが穏やかで、漬け込みや煮込みに向きます。すりおろしの鮮やかさは出ません。

搾ったあとの皮は、削って冷凍しておけます。香りは落ちますが、捨てるよりずっといい。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceがレモンピールを使っているのは、フレアラインCITRUS EMBERの一本だけです。ただし原材料表の一番目——この商品でいちばん多く入っている素材です。

CITRUS EMBERは柑橘を主役にした一本で、レモンピールに、東南アジアのこぶみかんの葉を重ねてあります。西洋の標準的な柑橘と、まるで角度の違う柑橘。二枚重ねることで、柑橘に奥行きが出ます。

そして最後にハバネロが一つ。柑橘の残り火、という商品名のとおり、明るさの奥に熱が残る設計です。

レモンピールが働いている商品

レモンピールは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

レモンの皮と果汁、香りが強いのはどちらですか?

皮です。レモンの香りは果皮の表面にある小さな油の粒に詰まっていて、果汁にはほとんどありません。酸味は果汁、香りは皮。この二つは分けて考えられます。

すりおろすときのコツはありますか?

黄色い表面だけを、浅く削ってください。その下の白いワタには苦みがあります。おろし金は目の細かいものを、力を入れずに動かすのがコツです。

ドライとフレッシュ、どちらがいいですか?

使い方で決まります。仕上げに削って香りを立てるならフレッシュ、煮込みや漬け込みならドライ。ドライは穏やかですが、扱いやすく日持ちします。

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