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Inspiceスパイス事典馬告
馬告(マーガオ)
Maqaw / Mountain Litsea

馬告

レモングラスの香りをもつ「幻の香辛料」

馬告は、台湾の山に育つクスノキ科の木の実です。台湾原住民タイヤル族の言葉で「マーガオ」。粒は小さく、香りはレモングラスによく似ています。

馬告とは

学名
Litsea cubeba
科名
クスノキ科
使用部位
果実
原産地
台湾・中国南部・東南アジア
主な産地
台湾、中国南部
和名
アオモジ(青文字)
別名
マーガオ、山胡椒、メイチャン
流通の形
ホール(乾燥)/パウダー

タイヤル族が古くから使ってきた香辛料で、山の恵みとして受け継がれてきました。台湾の外に知られるようになったのは、ここ数十年のことです。

どんな香り

レモンです。それも果汁ではなく、皮を剥いた瞬間のあの立ち上がり。小さな粒ひとつからは想像できないほど、はっきりした柑橘の香りがします。

面白いのは、この木がクスノキ科だということです。シナモンやカシア、ローリエと同じ科。あの甘い樹皮や煮込みの葉と同じ家系から、これほどまっすぐな柑橘が出てくる。植物の分類と香りの分類は、必ずしも一致しません。

分子の側で見ると、いちばん近いのはレモングラスです。ところがレモングラスはイネ科の葉で、馬告はクスノキ科の果実。香りは近いのに、植物としては遠い。こういう関係が、香りの世界にはよくあります。

香りの行き先

馬告

意外に近い

馬告はクスノキ科——シナモン、カシア、ローリエと同じ家系です。それでいて香りは柑橘。植物の分類と香りの分類が食い違う、わかりやすい例です。

一緒に使うと伸びる

甘さと組む

馬告の香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

カシア

甘い樹皮と、柑橘の実。まったく違う香りですが、じつは同じクスノキ科です。血のつながった者どうしなのに、こんなに違う。Inspiceのチャイでこの二つが同居しているのは、偶然ではありません。

カルダモン

台湾の実と、南インドの果実。どちらも柑橘と清涼感を持っていて、香りの高さが揃っています。チャイのなかで馬告とカルダモンは、同じ階に立っています。

一緒に使うと伸びる素材

柑橘を重ねる ── レモンピール、こぶみかんの葉、チムール

角度の違う柑橘を並べる方向。馬告は硬質で青い側にあり、レモンピールの丸さと重ねると幅が出ます。

甘さと組む ── カシア、トンカ豆

チャイの組み立て。甘く太い香りの上に、柑橘を一枚乗せる。重さが軽くなります。

辛さと組む ── ジンジャー、四川青山椒

熱としびれに、明るさを足す方向。台湾料理でこの組み合わせが使われるのも、同じ発想です。

料理への応用

入れどき

はじめ、砕いて油に

砕いたホール

柑橘が油に移る。粒が小さいので砕く。

炒め物煮込み台湾料理

煮出す

ホール

液体に柑橘が移る。長く煮ても飛びにくい。

チャイスープ

最後、挽いてふる

パウダー

レモンの香りがまっすぐ立つ。

白身魚サラダ
馬告を、いつ入れるか

はじめ、砕いて油に砕いたホール

小さな粒なので、軽く潰してから使います。丸のままでも香りますが、砕くと立ち方が変わります。

煮出すホール

牛乳や湯と一緒に煮出します。柑橘の香りとしては加熱に強い部類で、煮出す飲みものにも使えます。

最後、挽いてふるパウダー

火を止めてから。台湾では鶏肉や魚に振ります。塩と混ぜておくと使いやすい。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほど5粒料理が明るくなる。馬告とは気づかれない
効かせる10粒レモンの香りだとわかる。ふだんはここ
主役にする小さじ1/2馬告の料理になる

粒が小さいので数えにくければ、小さじで測って構いません。柑橘なので入れすぎても壊れにくい素材です。

この食材と合う理由

鶏、白身魚、豚、きのこ、青菜。それに牛乳。台湾では鶏のスープに使われてきました。柑橘の香りが淡白な素材を覆わずに持ち上げるので、素材の味を消さずに輪郭だけを立てられます。

味の濃い赤身肉や、香りの強いスパイスと組むと埋もれます。柑橘は繊細な側の素材です。

うまくいかないときの直し方

  • 香りが弱い粒が小さいので、砕いてから使ってください。丸のままだと出方が変わります
  • レモングラスとの違いがわからない香りは近い親戚です。馬告のほうが青く硬質で、レモングラスのほうが丸い。並べて嗅ぐとわかります
  • 手に入らない台湾食材店か通販が確実です。近い方向ならレモングラスかレモンピールで代用できます

一皿の設計例

鶏のスープに馬告。鶏もも肉と生姜、塩で煮たスープに、砕いた馬告を10粒。台湾の家庭の味です。レモンを絞らなくても、柑橘の香りが立ちます。

選び方・保存

黒っぽい小さな粒で、乾いた実です。指で潰すと強い柑橘の香りが立ちます。

ホールで一年ほど。柑橘の香りとしては保ちがよい部類です。

密閉して冷暗所へ。香りが強いので、他のスパイスと同じ容器に入れないでください。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceは、馬告を10のブレンドに使っています。チャイ全種と、ディッシュ シンフォニーNo.2です。

チャイでは、原材料表の後ろのほうに少しだけ。カシアの甘さ、ジンジャーの熱、カルダモンの清涼感がある一杯に、柑橘を一滴だけ落とす。甘く重くなりがちなチャイに、抜け道をつくる役です。

ディッシュNo.2では、もっと前に出しています。この一本はクミンとターメリックの土が主役で、そこへ台湾の柑橘を対に置いてある。土と柑橘、遠い二つを同居させた構成です。

馬告が働いている商品

馬告は、Inspiceの10のブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

Inspiceの商品を見る →

よくある質問

馬告はどんな香りですか?

レモンです。果汁ではなく、皮を剥いた瞬間の立ち上がりに近い。小さな粒ひとつからは想像できないほど、はっきりした柑橘の香りがします。

レモングラスと同じですか?

香りは近い親戚ですが、植物としては遠い関係です。レモングラスはイネ科の葉、馬告はクスノキ科の果実。馬告のほうが青く硬質で、レモングラスのほうが丸い香りです。

どこで買えますか?

台湾食材店か通販が確実です。日本ではまだ流通が限られています。近い方向ならレモングラスやレモンピールで代用できますが、あの硬質な青さは馬告のものです。

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