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Inspiceスパイス事典タラゴン
タラゴン(タラゴン)
Tarragon

タラゴン

フレンチの香り。アニスに通じる繊細なハーブ

タラゴンは、キク科のハーブです。フランス料理では欠かせない存在で、甘い香りだけを持ち、刺激をまったく持たないのが特徴です。

タラゴンとは

学名
Artemisia dracunculus
科名
キク科
使用部位
原産地
ロシア・西アジア
主な産地
フランス、オランダ、アメリカ
和名
なし(エストラゴンとも)
別名
フレンチタラゴン、ドラゴンのハーブ
流通の形
フレッシュ/ドライ/タラゴンビネガー

別名は「ドラゴンのハーブ」。根がとぐろを巻いた蛇のように見えるから、という説があります。中世以降に使われはじめた、比較的新しいハーブです。

どんな香り

甘い。それだけです。他のハーブがたいてい持っている刺激や苦みが、タラゴンにはほとんどありません。数値で並べると、甘さの軸だけが突出して、あとは静か。この静けさがタラゴンの正体です。

甘さの質はアニスに近い。鼻に抜ける、少し薬草めいた甘さです。ただしアニスやフェンネルほど押しが強くなく、もっと繊細。だから卵やクリームのような、香りの淡いものに乗せられます。

香りは移ろいやすく、開花の直前がいちばん強いと言われます。乾かすと弱くなるので、フレッシュが手に入るならそちらを。酢に漬けたタラゴンビネガーは、香りを保存する古くからの知恵です。

香りの行き先

タラゴン

意外に近い

タラゴンは刺激をまったく持たない、珍しいハーブです。他の葉のハーブがたいてい持っている尖りがない。だから「甘さの層だけを足したい」場面で、代わりが利きません。

一緒に使うと伸びる

甘さを重ねる

酸と組む

タラゴンの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

スターアニス

フランスの繊細な葉と、中国の押しの強い実。強さがまるで違うので、同じ甘さの成分を持っているとは思えません。ところが持っています。タラゴンの甘さがどこか薬草めいて感じられるのは、この共通点によります。

トンカ豆

どちらも甘い香りだけを持ち、刺激をほとんど持たない素材です。この組み合わせは珍しく、菓子やクリームの世界で使える手が広がります。ただしどちらも繊細なので、量を間違えると互いに消し合います。

一緒に使うと伸びる素材

甘さを重ねる ── フェンネル、アニス

同じ甘さの成分を持つ者どうし。ただしタラゴンのほうが繊細なので、量を間違えると消されます。相手を少なめに。

酸と組む ── レモンピール

タラゴンビネガーという古典があるくらい、酸との相性がよいハーブです。刺激がないぶん、酸の輪郭がそのまま立ちます。

緑の層をつくる ── バジル、トゥルシー、セージ

葉のハーブを重ねる方向。タラゴンは刺激を持たないので、束ねたときに角を作りません。まとめ役として置けます。

料理への応用

入れどき

はじめ、バターに

フレッシュ/ドライ

乳脂肪が香りを受け止める。

ムニエルソテー卵料理

酢に漬ける

フレッシュの枝ごと

香りが酢に移り、数週間保つ。

ドレッシングソースマリネ

最後、刻んで

フレッシュ

甘い香りがまっすぐ立つ。加熱しないほうが強い。

オムレツサラダ甲殻類
タラゴンを、いつ入れるか

はじめ、バターにフレッシュ/ドライ

バターを溶かすときに一緒に。タラゴンの香りは繊細なので、油よりバターやクリームのほうがよく合います。強火にすると飛びます。

酢に漬けるフレッシュの枝ごと

枝ごと酢に沈めて数週間置きます。タラゴンビネガーはフランスの台所の常備品で、ドレッシングやベアルネーズソースの土台になります。

最後、刻んでフレッシュ

火を止めてから刻んで散らします。加熱に弱いハーブなので、香りを立てたいなら最後です。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほどフレッシュ2〜3枚料理に丸みが出る。タラゴンとは気づかれない
効かせるフレッシュ1枝タラゴンの香りだとわかる。ふだんはここ
主役にするフレッシュ2枝タラゴンの料理になる

刺激がないので、多く入れても辛くも苦くもなりません。ただし甘さは増えるので、料理が眠くならない程度に。

この食材と合う理由

卵、鶏、白身魚、えびやかにといった甲殻類。それにバターとクリーム。香りの淡いものに向きます。タラゴンには刺激がないので、繊細な素材を覆いません。上に薄く乗せる香り、と考えるとうまくいきます。果物にも使えます。

味の濃い赤身肉や、香りの強いスパイスと組ませると埋もれます。主役を張らせるか、他を減らすか、どちらかです。

うまくいかないときの直し方

  • 香りがしない加熱しすぎているか、ドライを使っています。タラゴンは乾かすと香りが落ちるハーブです。フレッシュを最後に入れてください
  • フレッシュが手に入らないタラゴンビネガーで代用できます。市販品もありますし、ドライを酢に漬けておくだけでも香りは移ります
  • 代わりが見つからない難しいスパイスです。甘さだけを持ち刺激がない、という組み合わせが珍しい。近づけるならフェンネルかアニスを、ごく少量

一皿の設計例

タラゴンのオムレツ。卵にフレッシュのタラゴンを刻んで混ぜ、バターで焼くだけ。塩と胡椒以外は何も入れません。それでも、いつものオムレツとは別のものになります。

選び方・保存

フレッシュは冷蔵で数日。濡らしたキッチンペーパーで包んで野菜室へ。日持ちしないハーブです。

ドライは香りが落ちやすく、フレッシュの代わりにはなりません。買うなら少量を。

使い切れないときは酢に漬けてください。タラゴンビネガーにしておけば、香りが数か月保ちます。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceは、タラゴンをフレアラインGREEN NUDGEの一本だけに使っています。原材料表の三番目、上位です。

GREEN NUDGEは緑の葉ばかりを集めた一本で、そこへハバネロを一つだけ落としてあります。熱を導火線として引いた構成です。そのなかで、タラゴンは唯一まったく刺激を持たない素材。他の葉が持つ尖りを受け止めて、束ねる役をしています。

刺激を持たないハーブを、辛い一本のなかに上位で置く。逆説的に見えますが、熱を効かせるには受け皿が要ります。

タラゴンが働いている商品

タラゴンは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

タラゴンの代用になるハーブはありますか?

難しい部類です。甘さだけを持ち、刺激をまったく持たないという組み合わせが珍しいためです。方向を近づけるならフェンネルかアニスをごく少量。ただし別の香りになると考えたほうが確実です。

タラゴンビネガーとは何ですか?

フレッシュのタラゴンを酢に漬けたものです。フランスの台所の常備品で、ドレッシングやベアルネーズソースの土台になります。日持ちしないタラゴンの香りを保存する、古くからの知恵でもあります。

ドライでも使えますか?

使えますが、タラゴンは乾かすと香りがかなり落ちます。フレッシュが手に入るならそちらを。手に入らないときは、ドライを酢に漬けてから使うと香りが立ちます。

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