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フレンチの香り。アニスに通じる繊細なハーブ
タラゴンは、キク科のハーブです。フランス料理では欠かせない存在で、甘い香りだけを持ち、刺激をまったく持たないのが特徴です。
別名は「ドラゴンのハーブ」。根がとぐろを巻いた蛇のように見えるから、という説があります。中世以降に使われはじめた、比較的新しいハーブです。
甘い。それだけです。他のハーブがたいてい持っている刺激や苦みが、タラゴンにはほとんどありません。数値で並べると、甘さの軸だけが突出して、あとは静か。この静けさがタラゴンの正体です。
甘さの質はアニスに近い。鼻に抜ける、少し薬草めいた甘さです。ただしアニスやフェンネルほど押しが強くなく、もっと繊細。だから卵やクリームのような、香りの淡いものに乗せられます。
香りは移ろいやすく、開花の直前がいちばん強いと言われます。乾かすと弱くなるので、フレッシュが手に入るならそちらを。酢に漬けたタラゴンビネガーは、香りを保存する古くからの知恵です。
香りの行き先
フランスの繊細な葉と、中国の押しの強い実。強さがまるで違うので、同じ甘さの成分を持っているとは思えません。ところが持っています。タラゴンの甘さがどこか薬草めいて感じられるのは、この共通点によります。
どちらも甘い香りだけを持ち、刺激をほとんど持たない素材です。この組み合わせは珍しく、菓子やクリームの世界で使える手が広がります。ただしどちらも繊細なので、量を間違えると互いに消し合います。
同じ甘さの成分を持つ者どうし。ただしタラゴンのほうが繊細なので、量を間違えると消されます。相手を少なめに。
タラゴンビネガーという古典があるくらい、酸との相性がよいハーブです。刺激がないぶん、酸の輪郭がそのまま立ちます。
葉のハーブを重ねる方向。タラゴンは刺激を持たないので、束ねたときに角を作りません。まとめ役として置けます。
入れどき
はじめ、バターに
フレッシュ/ドライ
乳脂肪が香りを受け止める。
酢に漬ける
フレッシュの枝ごと
香りが酢に移り、数週間保つ。
最後、刻んで
フレッシュ
甘い香りがまっすぐ立つ。加熱しないほうが強い。
バターを溶かすときに一緒に。タラゴンの香りは繊細なので、油よりバターやクリームのほうがよく合います。強火にすると飛びます。
枝ごと酢に沈めて数週間置きます。タラゴンビネガーはフランスの台所の常備品で、ドレッシングやベアルネーズソースの土台になります。
火を止めてから刻んで散らします。加熱に弱いハーブなので、香りを立てたいなら最後です。
刺激がないので、多く入れても辛くも苦くもなりません。ただし甘さは増えるので、料理が眠くならない程度に。
卵、鶏、白身魚、えびやかにといった甲殻類。それにバターとクリーム。香りの淡いものに向きます。タラゴンには刺激がないので、繊細な素材を覆いません。上に薄く乗せる香り、と考えるとうまくいきます。果物にも使えます。
味の濃い赤身肉や、香りの強いスパイスと組ませると埋もれます。主役を張らせるか、他を減らすか、どちらかです。
タラゴンのオムレツ。卵にフレッシュのタラゴンを刻んで混ぜ、バターで焼くだけ。塩と胡椒以外は何も入れません。それでも、いつものオムレツとは別のものになります。
フレッシュは冷蔵で数日。濡らしたキッチンペーパーで包んで野菜室へ。日持ちしないハーブです。
ドライは香りが落ちやすく、フレッシュの代わりにはなりません。買うなら少量を。
使い切れないときは酢に漬けてください。タラゴンビネガーにしておけば、香りが数か月保ちます。
Inspiceは、タラゴンをフレアラインGREEN NUDGEの一本だけに使っています。原材料表の三番目、上位です。
GREEN NUDGEは緑の葉ばかりを集めた一本で、そこへハバネロを一つだけ落としてあります。熱を導火線として引いた構成です。そのなかで、タラゴンは唯一まったく刺激を持たない素材。他の葉が持つ尖りを受け止めて、束ねる役をしています。
刺激を持たないハーブを、辛い一本のなかに上位で置く。逆説的に見えますが、熱を効かせるには受け皿が要ります。
タラゴンは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
難しい部類です。甘さだけを持ち、刺激をまったく持たないという組み合わせが珍しいためです。方向を近づけるならフェンネルかアニスをごく少量。ただし別の香りになると考えたほうが確実です。
フレッシュのタラゴンを酢に漬けたものです。フランスの台所の常備品で、ドレッシングやベアルネーズソースの土台になります。日持ちしないタラゴンの香りを保存する、古くからの知恵でもあります。
使えますが、タラゴンは乾かすと香りがかなり落ちます。フレッシュが手に入るならそちらを。手に入らないときは、ドライを酢に漬けてから使うと香りが立ちます。
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