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辛さで選ばれていない唐辛子。果実の香りのために使う
エスペレット産唐辛子は、フランス・バスク地方エスペレット村の唐辛子です。辛さは穏やかで、果実のような香りと甘みを持ちます。熱の強さではなく、香りで選ばれている品種です。
バスク地方で作られてきた唐辛子で、村の名がそのまま呼び名になっています。産地の名を冠した呼称のもとで作られていて、名前が品種と土地の両方を指しています。バスク料理では、胡椒の代わりに使われる場面もあります。
辛い唐辛子ではありません。口に入れてから熱が来るまでに間があり、その手前に果実の香りが立ちます。熱が来ても喉を焼かず、口の中で丸く広がって、すぐ引きます。
粗く挽いた赤の中に、乾いた果実の甘さと、わずかに焙ったような香りがあります。パプリカに近い甘さを持ちながら、後ろに熱がある。辛くない唐辛子と、辛い唐辛子のあいだにいる素材です。
熱だけが欲しいなら、もっと辛い品種がいくらでもあります。この唐辛子を選ぶのは、熱の手前に香りを置きたいときです。辛さは目的ではなく、香りを届けたあとに残る余韻として使います。
香りの行き先
カカオの苦みと、果実の香りを持つ唐辛子。辛くするための組み合わせではありません。カカオの苦みの後ろに、乾いた果実の甘さを置くための並びです。カカオと唐辛子は、中南米で長く組まれてきた関係でもあります。
辛い名前を持つ果実と、胡椒ではない果実。どちらも香りは甘酸っぱい側にあり、皿の上での役割は華やかさです。刺激の強さで選ばれていない点が共通しています。
果実の香りは、甘さと並べると伸びます。熱が後ろに下がり、香りだけが前に出る方向です。
生姜は喉、胡椒は舌、唐辛子は口の中全体。効く場所が違う熱を並べると、辛さを強くせずに厚くできます。
焙った甘さの側と組む方向。色も香りも同じ系統なので、料理の輪郭がまとまります。
入れどき
はじめ、油に
粉末
香りが油に移り、熱がまろやかに回る。
仕上げに振る
粉末
果実の香りが立つ。熱は控えめに残る。
甘いものに
粉末
甘さの後ろに、熱がうっすら残る。
低い温度の油に入れます。唐辛子の香りは油に溶けるので、水を入れる前に合わせます。強火にかけると焦げて苦くなります。
皿に盛ってから振ります。加熱していないぶん香りがまっすぐ出て、熱は後ろに残る程度になります。この使い方がいちばん向いています。
ごく少量を混ぜます。舌に残る熱が、甘さの輪郭を長くします。辛いと感じる手前で止めるのがこつです。
辛さが穏やかなので、ほかの唐辛子と同じ量では物足りなく感じるかもしれません。ただし増やすほど、香りより熱が前に出ます。
卵、白身魚、鶏、豆、トマト、チーズ、チョコレート。淡白なものにも、甘いものにも合います。果実の香りと甘みを持つので、辛さを足すというより、赤い香りを一枚重ねる感覚で使えます。
辛さを主役にしたい料理には向きません。量を増やしても、期待した熱には届く前に香りが濃くなります。
エスペレットのオムレツ。焼き上がりに振るだけ。卵の甘さの上に、乾いた果実の香りが乗ります。辛さはほとんど感じません。
粉末で流通します。香りがいちばん飛びやすい形なので、少量ずつ買うほうが向いています。
赤い色は光で褪せます。密閉して、暗いところへ。
湿気を吸うと固まります。冷蔵庫に入れると出し入れで結露するので、冷暗所のほうが確実です。
Inspiceは、この唐辛子を辛さのために選んでいません。果実の香りのために選んでいます。
CHAInstant 4種の詰め合わせでは、熱が主役の一杯があります。そこでも、辛さの強さで押し切る組み方はしていません。熱の手前に果実の香りを置くと、一杯の輪郭が変わる。エスペレットはその位置にいます。
the cocoaにも、同じバスク産の中辛の唐辛子をごく少量だけ入れてあります。カカオと唐辛子は中南米で長く組まれてきた関係で、そこへ柑橘や果実の香りを持つ品種を選ぶと、苦みの後ろが明るくなります。
Inspiceは、カレーには唐辛子を一本も入れていません。辛さの担当はHOT SPICEとフレアラインに集めてあります。そのうえで、香りのために唐辛子を使う場面がある——エスペレットはその例外側の素材です。
エスペレット産唐辛子は、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
穏やかです。口に入れてから熱が来るまでに間があり、その手前に果実の香りが立ちます。熱も喉を焼かず、すぐに引きます。辛さの強さで選ばれている品種ではありません。
パプリカには辛さがなく、一般的な唐辛子は熱が主役です。エスペレットはその中間で、パプリカに近い果実の甘さを持ちながら、後ろに穏やかな熱があります。
使えます。チョコレートやココアにごく少量。舌に残る熱が、甘さの輪郭を長くします。辛いと感じる手前で止めてください。
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