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ナツメグを包む、深紅のレースの香り
メースは、ナツメグの種子を包んでいる、レース状の赤い網を乾かしたものです。ナツメグとメースは、一つの実から採れる二つのスパイスです。
収穫したての仮種皮は鮮やかな真紅で、乾かすとオレンジがかった琥珀色になります。ブレード(刃)と呼ばれるのは、この平たい形からです。
ナツメグに似ています。当然です、同じ実なのですから。ただし渋みがありません。ナツメグには口を締めるような渋さがありますが、メースにはそれがない。同じ方向の香りを、もっと柔らかく届けます。
だから使い分けが決まります。ナツメグでは強すぎる、渋みが料理を覆ってしまう——そういう場面でメースを選ぶ。白いソース、透明なスープ、繊細な魚。ナツメグが入りにくいところに、メースなら入れます。
そして色が出ません。ナツメグを削ると茶色い粉が散りますが、メースのブレードは煮出しても料理を濁らせない。ベシャメルソースにメース、という定番には、香りだけでなく見た目の理由もあります。
香りの行き先
熱帯の仮種皮と、地中海の種子。産地も見た目も違いますが、香りの成分を分け合っています。松と柑橘の側で通じていて、この二つを合わせると驚くほど素直にまとまります。
繊細なメースと、押しの強い八角。強さがまるで違うので同居させにくそうに見えますが、共通の成分があります。中華の白い煮込みにメースが使われるのは、この近さがあるからです。
抜群に噛み合う組み合わせです。白いソースならホワイトペッパーと。色も香りも濁らせずに、輪郭だけが出ます。
メースの甘い温かみに、明るさを足す方向。とても相性がよく、菓子でも料理でも効きます。
同じ甘く温かい方向を厚くします。ただしメースは繊細なので、相手を控えめに。
入れどき
はじめ、ブレードごと
ブレード
香りが出るのに時間が要る。色は出ない。
途中、下味に
パウダー
肉や魚のクセと釣り合う。渋みが出ない。
最後、粉をひとつまみ
パウダー
甘い温かみがまっすぐ立つ。
牛乳やスープにブレードのまま入れて、最後に取り出します。色が出ないので、白い料理を濁らせません。ここがナツメグとの決定的な差です。
すり込むか、混ぜ込むか。ナツメグでは強すぎると感じる淡白な素材に、メースなら使えます。
火から下ろしてから。繊細な香りは加熱で飛びやすいので、仕上げに置くのがいちばん効きます。
ナツメグと同じ量では強すぎます。渋みがないぶん入れすぎに気づきにくいので、少なめから。
白身魚、鶏、子牛、じゃがいも、カリフラワー、牛乳、クリーム。淡白なものと、白いもの。メースは色を出さず、渋みも出さないので、素材の見た目と味を邪魔しません。ナツメグが入れない場所に入っていける、というのがメースの立ち位置です。
味の濃い赤身肉や、香りの強い料理では埋もれます。そういう場面ではナツメグのほうが向いています。
ベシャメルソースにメース。牛乳を温めるときにブレードを1枚入れて、最後に取り出す。それだけで、いつものホワイトソースに奥行きが出ます。色は濁りません。
オレンジがかった琥珀色の、平たいレース状のかけらです。色が濃く、しなやかなものが上等。ぱさぱさに乾ききったものは香りも抜けています。
ブレードなら一年ほど。パウダーは香りが早く落ちるので、少量ずつ買ってください。
密閉して冷暗所へ。軽いので、他のスパイスの下敷きにならないように。
Inspiceは、メースを3つのブレンドに使っています。同じ実から採れるナツメグは14。三対十四という差が、そのまま使い分けの答えです。
スパイスカレー シンフォニーNo.1では、メースをフェヌグリークとまったく同じ重さで置いてあります。カレーらしさを担う素材と、渋みのない温かみ。対等に並べた配置です。
ナツメグでは強すぎる、渋みが前に出てしまう——そう判断した場所にだけメースを使っています。一つの実から二つの階調を取り出せる、というのがこの素材の使い道です。
メースは、Inspiceの3つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
同じ実から採れます。種子がナツメグ、それを包むレース状の網がメース。香りは近いのですが、メースには渋みがなく、色も出ません。ナツメグでは強すぎる場面で使うとうまくいきます。
使えますが、同じ量では物足りなく感じます。逆にナツメグの代わりにメースを選ぶ理由は、渋みと色が出ないこと。白いソースや淡白な魚では、メースのほうが確実です。
用途で決まります。牛乳やスープに煮出して取り出すならブレード、下味や仕上げに使うならパウダー。ブレードのほうが香りは長持ちします。
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