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Inspiceスパイス事典赤花椒
赤花椒(あかホアジャオ)
Red Sichuan Pepper

赤花椒

麻婆豆腐の「麻」。華やかな痺れの赤い実

赤花椒は、中国原産のミカン科の木の、完熟した果皮です。麻婆豆腐の「麻」——あのしびれを担っているのがこれです。

赤花椒とは

学名
Zanthoxylum bungeanum
科名
ミカン科
使用部位
完熟した果皮
原産地
中国四川省
主な産地
中国(四川省、陝西省、甘粛省)
和名
花椒(かしょう)、中国山椒
別名
ホワジャオ、レッドシチュアンペッパー
流通の形
ホール(果皮)/パウダー

四川料理の骨格は「麻辣」、しびれと辛さの二つでできています。しびれの側を担ってきたのが赤花椒で、唐辛子が中国に伝わるよりずっと前から使われてきました。

どんな香り

しびれます。舌の上で細かく震えるような、独特の感覚。これは味でも辛さでもなく、触覚に近いものです。唐辛子の熱さとはまったく別の仕組みで起きています。

そして華やかです。しびれの印象が強すぎて見落とされがちですが、赤花椒には柑橘と花の香りがあります。ミカン科ですから、当然といえば当然です。青い花椒より熟しているぶん、この華やかさが強く出ます。

香りは果皮にあります。中に入っている黒い種は苦いだけなので、良いものほど種が取り除かれている。買うときに種が多く混ざっていたら、それは選別が甘いということです。

香りの行き先

赤花椒

意外に近い

山椒の仲間は、しびれだけが自分のものです。香りの成分はローリエ、ジュニパー、カルダモンと分け合っている。しびれは四川のもの、香りは世界と繋がっている——ここが山椒のいちばん面白いところです。

一緒に使うと伸びる

赤花椒の香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

ローリエ

四川のしびれと、地中海の煮込みの葉。まるで関係がなさそうですが、香りの成分を四つ分け合っています。しびれだけが花椒のもので、香りのほうは世界中のスパイスと繋がっている。ここが花椒のいちばん面白いところです。

ジュニパーベリー

四川の実と、北欧の森の実。こちらも四つ共有しています。産地としては地球の反対側ですが、どちらもミカン科と針葉樹という違いを越えて、柑橘と樹脂の側で通じています。

一緒に使うと伸びる素材

しびれの角を取る ── スターアニス、ナツメグ、カシア

甘く温かい香りが、しびれの鋭さを包みます。五香粉に花椒とスターアニスが同居しているのは、この関係です。

柑橘を伸ばす ── レモンピール、コリアンダー、カルダモン

赤花椒のなかにある柑橘の側を引き出す方向。しびれを増やさずに、華やかさだけを足せます。

別の辛さと並べる ── 唐辛子、ブラックペッパー、ジンジャー

麻辣の組み立て。しびれと焼ける辛さは別の仕組みなので、並べると打ち消し合わずに重なります。

料理への応用

入れどき

はじめ、乾煎りしてから

乾煎りしたホール

厚い果皮から香りが出る。煎らないと立たない。

麻婆豆腐炒め物ラー油

途中、油に

ホール

しびれと香りが油に移る。取り出せる。

ラー油煮込み

最後、粉をふる

パウダー

しびれがまっすぐ立つ。加熱ゼロがいちばん強い。

麻婆豆腐担々麺焼き物
赤花椒を、いつ入れるか

はじめ、乾煎りしてから乾煎りしたホール

油をひかずに弱火で煎ります。果皮が厚く、そのままでは香りが出にくい。ただし煎りすぎると柑橘が飛んで焦げた匂いだけが残るので、香りが立ったところで止めてください。

途中、油にホール

低温の油でゆっくり。花椒油はこの方法でつくります。黒い種が混じっていると苦みが出るので、取り除いてから。

最後、粉をふるパウダー

火を止めてから振ります。しびれは熱で弱まるので、仕上げに足すのが本場の作法です。麻婆豆腐の粉は最後にかけます。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほど小さじ1/4料理に華やかさが出る。しびれは感じない
効かせる小さじ1/2しびれがわかる。ふだんはここ
主役にする小さじ1麻婆豆腐のしびれになる

しびれは後から追いかけてきます。食べた直後に「足りない」と感じて足すと、あとで効きすぎることがあります。

この食材と合う理由

豆腐、豚ひき肉、鶏、なす、きゅうり。それに唐辛子。脂のある料理と、水分の多い野菜。しびれは脂のなかでよく広がり、冷たい料理でもはっきり感じられます。四川で豆腐となすに使われてきたのは、この相性です。

繊細な出汁の料理や、甘い菓子には向きません。しびれが料理の構造ごと変えてしまいます。

うまくいかないときの直し方

  • しびれない乾煎りしていないか、古い可能性があります。花椒のしびれは時間とともに落ちるので、開封から一年を目安に
  • 苦い黒い種が混じっています。取り除いてから使ってください。煎りすぎでも苦みが出ます
  • しびれすぎた油脂か乳製品で包むと和らぎます。時間が経てば必ず引くので、慌てなくて大丈夫です

一皿の設計例

きゅうりの花椒和え。叩いたきゅうりに塩、ごま油、そして仕上げに赤花椒の粉。火を使わない一皿ですが、しびれははっきり立ちます。

選び方・保存

赤褐色の果皮が開いた形をしています。黒い種が少なく、果皮だけが揃っているものが上等。

しびれは時間とともに落ちます。他のスパイスより回転が大事で、開封から一年を目安に。

密閉して冷暗所へ。香りが強いので、他のスパイスと同じ容器に入れないでください。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceは、赤花椒を2つのブレンドに使っています。ディッシュ シンフォニーNo.3とHOT SPICE「旨辛」です。

ディッシュNo.3では、青花椒と一緒に入れてあります。同じ木の、熟した実と若い実。しびれの質が違うので、二つ並べると層ができます。マニゲットの辛さも同居していて、辛味が二層、しびれが二層という構成です。

Inspiceは山椒の仲間を五つ使い分けています。中国の赤花椒・青花椒・四川青山椒と、日本の飛騨高原青山椒・高原赤山椒。しびれは共通ですが、香りは産地と品種で変わります。

赤花椒が働いている商品

赤花椒は、Inspiceの2つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

赤花椒と青花椒は何が違いますか?

同じ木の実で、摘む時期が違います。赤花椒は完熟した果皮で、しびれが強く華やか。青花椒は未熟なうちに摘んだもので、柑橘の香りが鋭く立ちます。どちらもしびれますが、香りの方向が違います。

日本の山椒とは違いますか?

同じミカン科サンショウ属ですが、別の種です。中国の花椒はしびれが強く、日本の山椒は香りが際立ちます。中国では辛味をつける目的、日本では香りを楽しむ目的と、使われ方そのものが違います。

しびれを強くするには?

乾煎りしてから使い、粉は火を止めてから振ってください。しびれは熱で弱まります。それでも足りないなら、開封から時間が経っている可能性が高いです。

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