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麻婆豆腐の「麻」。華やかな痺れの赤い実
赤花椒は、中国原産のミカン科の木の、完熟した果皮です。麻婆豆腐の「麻」——あのしびれを担っているのがこれです。
四川料理の骨格は「麻辣」、しびれと辛さの二つでできています。しびれの側を担ってきたのが赤花椒で、唐辛子が中国に伝わるよりずっと前から使われてきました。
しびれます。舌の上で細かく震えるような、独特の感覚。これは味でも辛さでもなく、触覚に近いものです。唐辛子の熱さとはまったく別の仕組みで起きています。
そして華やかです。しびれの印象が強すぎて見落とされがちですが、赤花椒には柑橘と花の香りがあります。ミカン科ですから、当然といえば当然です。青い花椒より熟しているぶん、この華やかさが強く出ます。
香りは果皮にあります。中に入っている黒い種は苦いだけなので、良いものほど種が取り除かれている。買うときに種が多く混ざっていたら、それは選別が甘いということです。
香りの行き先
四川のしびれと、地中海の煮込みの葉。まるで関係がなさそうですが、香りの成分を四つ分け合っています。しびれだけが花椒のもので、香りのほうは世界中のスパイスと繋がっている。ここが花椒のいちばん面白いところです。
四川の実と、北欧の森の実。こちらも四つ共有しています。産地としては地球の反対側ですが、どちらもミカン科と針葉樹という違いを越えて、柑橘と樹脂の側で通じています。
甘く温かい香りが、しびれの鋭さを包みます。五香粉に花椒とスターアニスが同居しているのは、この関係です。
赤花椒のなかにある柑橘の側を引き出す方向。しびれを増やさずに、華やかさだけを足せます。
麻辣の組み立て。しびれと焼ける辛さは別の仕組みなので、並べると打ち消し合わずに重なります。
入れどき
はじめ、乾煎りしてから
乾煎りしたホール
厚い果皮から香りが出る。煎らないと立たない。
途中、油に
ホール
しびれと香りが油に移る。取り出せる。
最後、粉をふる
パウダー
しびれがまっすぐ立つ。加熱ゼロがいちばん強い。
油をひかずに弱火で煎ります。果皮が厚く、そのままでは香りが出にくい。ただし煎りすぎると柑橘が飛んで焦げた匂いだけが残るので、香りが立ったところで止めてください。
低温の油でゆっくり。花椒油はこの方法でつくります。黒い種が混じっていると苦みが出るので、取り除いてから。
火を止めてから振ります。しびれは熱で弱まるので、仕上げに足すのが本場の作法です。麻婆豆腐の粉は最後にかけます。
しびれは後から追いかけてきます。食べた直後に「足りない」と感じて足すと、あとで効きすぎることがあります。
豆腐、豚ひき肉、鶏、なす、きゅうり。それに唐辛子。脂のある料理と、水分の多い野菜。しびれは脂のなかでよく広がり、冷たい料理でもはっきり感じられます。四川で豆腐となすに使われてきたのは、この相性です。
繊細な出汁の料理や、甘い菓子には向きません。しびれが料理の構造ごと変えてしまいます。
きゅうりの花椒和え。叩いたきゅうりに塩、ごま油、そして仕上げに赤花椒の粉。火を使わない一皿ですが、しびれははっきり立ちます。
赤褐色の果皮が開いた形をしています。黒い種が少なく、果皮だけが揃っているものが上等。
しびれは時間とともに落ちます。他のスパイスより回転が大事で、開封から一年を目安に。
密閉して冷暗所へ。香りが強いので、他のスパイスと同じ容器に入れないでください。
Inspiceは、赤花椒を2つのブレンドに使っています。ディッシュ シンフォニーNo.3とHOT SPICE「旨辛」です。
ディッシュNo.3では、青花椒と一緒に入れてあります。同じ木の、熟した実と若い実。しびれの質が違うので、二つ並べると層ができます。マニゲットの辛さも同居していて、辛味が二層、しびれが二層という構成です。
Inspiceは山椒の仲間を五つ使い分けています。中国の赤花椒・青花椒・四川青山椒と、日本の飛騨高原青山椒・高原赤山椒。しびれは共通ですが、香りは産地と品種で変わります。
赤花椒は、Inspiceの2つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
同じ木の実で、摘む時期が違います。赤花椒は完熟した果皮で、しびれが強く華やか。青花椒は未熟なうちに摘んだもので、柑橘の香りが鋭く立ちます。どちらもしびれますが、香りの方向が違います。
同じミカン科サンショウ属ですが、別の種です。中国の花椒はしびれが強く、日本の山椒は香りが際立ちます。中国では辛味をつける目的、日本では香りを楽しむ目的と、使われ方そのものが違います。
乾煎りしてから使い、粉は火を止めてから振ってください。しびれは熱で弱まります。それでも足りないなら、開封から時間が経っている可能性が高いです。
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