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Inspiceスパイス事典ローズマリー
ローズマリー(ローズマリー)
Rosemary

ローズマリー

記憶と海の雫。松のように凛としたハーブ

ローズマリーは、地中海沿岸の海辺に自生するシソ科の常緑低木です。針のような細い葉に、強い香りが詰まっています。

ローズマリーとは

学名
Salvia rosmarinus(旧 Rosmarinus officinalis)
科名
シソ科
使用部位
原産地
地中海沿岸
主な産地
スペイン、モロッコ、フランス、チュニジア
和名
マンネンロウ(迷迭香)
別名
海の雫
流通の形
ドライ(枝・葉)/フレッシュ

学名は「海の雫」を意味します。海に面した岩場に自生し、青い花が水滴のように見えたことに由来すると言われます。

どんな香り

強い。シソ科のハーブのなかでいちばん強い、と言ってしまってよいと思います。松のような樹脂の香りに、樟脳の冷たさが乗る。少し薬っぽい。好き嫌いがはっきり分かれるのも、この強さのせいです。

フレッシュは油とよく合います。油で温めると香りが移り、揚げものや脂の多い肉が別のものになる。意外なことに、果物にも使えます。りんごや洋梨のマリネに一枝、というのは成立します。

ところが乾かすと、その果物への道が閉じます。薬っぽさが強くなって、甘いものと噛み合わなくなる。他のシソ科ハーブは乾燥すると苦い側へ寄るだけですが、ローズマリーは使える相手そのものが変わります。

香りの行き先

ローズマリー

意外に近い

ローズマリーはシソ科のなかでも突出して強いハーブです。オレガノやマジョラムと代用が利く一群に属しながら、量だけは同じにできない。置き換えるなら半分から始めてください。

一緒に使うと伸びる

肉のクセと釣り合わせる

清涼感を重ねる

ローズマリーの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

カルダモン

地中海の針葉と、南インドの果実。まるで別世界の素材ですが、清涼感の成分を分け合っています。ローズマリーの薬っぽさが強すぎるとき、カルダモンを足すと涼しさの質が変わって和らぎます。

ジュニパーベリー

どちらも針葉樹の香りを持っています。ジンの香りづけに使われるジュニパーと、ローズマリー。ラムやジビエに二つを一緒に使うと、山の香りがはっきり立ち上がります。

一緒に使うと伸びる素材

地中海の方向へ ── オレガノ、セージ、マジョラム

同じシソ科どうしで、香りの成分を分け合っています。ただしローズマリーが一人で強いので、他を増やしてローズマリーを減らす配分になります。

肉のクセと釣り合わせる ── ジュニパーベリー、ブラックペッパー

針葉樹の香りを共有する組み合わせ。ラム、ジビエ、豚の塊肉といった強い相手に、山の香りで立ち向かいます。

清涼感を重ねる ── カルダモン、ローリエ

ローズマリーの樟脳感を、別の質の涼しさで包む方向。薬っぽさが和らぎます。

料理への応用

入れどき

はじめ、油に枝ごと

フレッシュの枝

香りが油に移る。油そのものが調味料になる。

揚げものローストマリネ

焼く前にすり込む

刻んだドライ/フレッシュ

焼き面で香ばしさに変わる。肉のクセと釣り合う。

ラム豚の塊肉鶏もも

途中で引き上げる

フレッシュの枝

入れっぱなしにすると苦みが出る。

煮込みスープ
ローズマリーを、いつ入れるか

はじめ、油に枝ごとフレッシュの枝

低温の油に枝ごと入れて、香りが立ったら取り出します。この油でじゃがいもを揚げたり、肉を焼いたりする。ローズマリーの香りは水に溶けにくく、油がいちばんよく運びます。

焼く前にすり込む刻んだドライ/フレッシュ

塩と一緒に肉にすり込みます。フレッシュなら葉をこそげて刻み、ドライなら指ですり潰しながら。焼くと薬っぽさが飛んで、香ばしさの側が残ります。

途中で引き上げるフレッシュの枝

煮込みには枝ごと入れて、香りが立ったら取り出します。ローズマリーは強いので、最後まで入れておく必要がありません。

分量の三段階(2人分の目安

気配ほどフレッシュ1/2枝、またはドライひとつまみ料理に芯が通る。ローズマリーとは気づかれない
効かせるフレッシュ1枝、またはドライ小さじ1/4ローズマリーの香りだとわかる。ふだんはここ
主役にするフレッシュ2枝、またはドライ小さじ1/2ローズマリーの料理になる。これ以上は薬っぽくなります

他のシソ科ハーブの半分の量から始めてください。ローズマリーだけは、同じ感覚で使うと必ず入れすぎます。

この食材と合う理由

ラム、豚の塊肉、鶏、じゃがいも、白いんげん豆。それにオリーブオイル。脂と澱粉を持つものに向きます。フレッシュならりんごや洋梨といった果物にも使えますが、ドライになると果物への道は閉じます。

繊細な白身魚や、出汁の効いた和食には強すぎます。ドライは甘いものと噛み合いません。

うまくいかないときの直し方

  • 薬っぽくなった入れすぎです。ローズマリーは他のシソ科ハーブの半分が目安。カルダモンやローリエを足すと、涼しさの質が変わって和らぎます
  • 苦い煮込みに入れっぱなしにしています。香りが立ったら引き上げてください
  • 葉が口に残る針のような葉は火を通しても柔らかくなりません。枝ごと入れて取り出すか、細かく刻んでください

一皿の設計例

ローズマリーポテト。じゃがいもをくし形に切り、オリーブオイルと塩、フレッシュの枝を1本と一緒にオーブンへ。枝ごと焼いて、食べる前に取り除きます。

選び方・保存

フレッシュは冷蔵で一週間ほど。乾燥に強い植物なので、束ねて吊るしておけば自然にドライになります。

ドライは緑が残っているものを。針状の葉が茶色くなっていたら香りも抜けています。

密閉して冷暗所へ。香りが強いので、他のスパイスと同じ容器や引き出しに入れると匂いが移ります。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceがローズマリーを使っているのは、スパイスカレー シンフォニーNo.3の一本だけです。しかも原材料表のいちばん最後。

この位置は意図的なものです。ローズマリーはシソ科でいちばん強く、少し多いだけで料理を薬っぽくします。カレーという十数種類が同居する場所では、いちばん薄く置くのが正解でした。

それでも抜くことはできません。No.3を「たべるブーケガルニ」と呼んでいるのは、オレガノとローズマリーが入っているからです。この二つがないと、ただのハーブ寄りのカレーになってしまいます。

ローズマリーが働いている商品

ローズマリーは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。 ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

ローズマリーが薬っぽくなってしまいます

量です。ローズマリーはシソ科のハーブのなかで突出して強く、オレガノやバジルと同じ感覚で使うと必ず入れすぎます。半分から始めてください。

フレッシュとドライで使い方は変わりますか?

変わります。フレッシュは油と相性がよく、りんごや洋梨といった果物にも使えます。ドライになると薬っぽさが強くなり、果物には向かなくなる。使える相手そのものが変わる、珍しいハーブです。

葉が硬くて食べにくいのですが

針のような葉は火を通しても柔らかくなりません。枝ごと入れて最後に取り出すのが基本です。刻んで使うなら、できるだけ細かく。

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