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Inspiceスパイス事典バニラビーンズ
バニラビーンズ(バニラビーンズ)
Vanilla Bean

バニラビーンズ

甘さの基準そのもの。発酵が生んだ莢

バニラビーンズは、ラン科のつる植物の果実です。緑色の未熟な莢を摘み、発酵させて乾かす。この工程を経てはじめて、黒く艶のある莢と、あの甘い香りになります。

バニラビーンズとは

学名
Vanilla planifolia
科名
ラン科
使用部位
果実(莢)
原産地
メキシコから中央アメリカ
主な産地
マダガスカル、インドネシア、タヒチ
流通の形
莢(ホール)/ペースト/エキストラクト

中央アメリカで古くから使われ、カカオの飲みものに加えられていました。ヨーロッパへ渡ってからは、菓子の甘さの基準になっています。

どんな香り

甘い、と言われて多くの人が思い浮かべる香りです。菓子でも飲みものでも、この香りが基準になっている。だから料理に入れると、それだけで甘いものの側に寄ります。砂糖を増やさずに甘さの印象を上げられるのは、この性質のためです。

この香りは、植物が最初から持っているものではありません。摘んだばかりの緑の莢はほとんど香らない。湯に通し、日に当てて汗をかかせ、時間をかけて乾かす。その過程で香りが生まれます。加工が香りをつくった素材です。

トンカ豆と並べると分かりやすい。どちらも甘さを担当する素材で、Inspiceのチャイでは同じ一杯に入っています。ただし甘さの出どころが違います。トンカ豆の甘さはクマリンで、桜の葉と同じもの。だから桜餅の側へ寄ります。バニラの甘さはバニリンで、草の匂いを含みません。まっすぐ甘い。量も、バニラのほうが多く要ります。

香りの行き先

バニラビーンズ

意外に近い

甘い香りの素材は、Inspiceでは役割が分かれています。トンカ豆は桜餅の側、カシアは煮込んでも残る側、バニラはまっすぐな甘さ。同じ「甘い」でも、どこから来る甘さかで使いどころが変わります。

一緒に使うと伸びる

土に蓋をする

バニラビーンズの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

ターメリック

菓子の莢と、カレーの根。売り場はまるで違いますが、Golden CHAInstantでは同じ一杯にいます。ターメリックの土の香りは低いところにあって、放っておくと沈む。そこへバニラの甘さを重ねると、土に厚みが出て、飲みものとして立ち上がります。

ピュアココア

中央アメリカでは、カカオの飲みものにバニラを入れていました。いま菓子で当たり前に見る組み合わせは、そこから続いているものです。苦みと甘さの役割分担が、最初から決まっています。

一緒に使うと伸びる素材

甘さを重ねる ── トンカ豆、カシア、スターアニス

同じ方向の甘さを厚くします。トンカ豆と並べるときは、桜餅の側とまっすぐな甘さの側で役割が分かれます。一種類では出ない厚みが出ます。

土に蓋をする ── ターメリック、クミン

土の香りは低いところにあります。甘さを上から重ねると、沈まずにまとまります。Golden CHAInstantがこの構造です。

苦みと組む ── ピュアココア、アッサム・ティーCTC

甘さを苦みで受ける方向。カカオにも紅茶にも入っていけます。

料理への応用

入れどき

莢を裂いて種を出す

ホールの莢

甘い香りがまっすぐ立つ。ここが本領。

クリームアイス焼き菓子

牛乳やクリームに浸す

裂いた莢と種

脂肪に香りが移る。

カスタードチャイシロップ

莢ごと煮出す

種を取ったあとの莢

香りが穏やかに全体へ回る。

チャイ煮込みジャム
バニラビーンズを、いつ入れるか

莢を裂いて種を出すホールの莢

包丁で縦に裂いて、背でこそげます。黒い種だけを使うと思われがちですが、莢の内側にも香りが残っています。

牛乳やクリームに浸す裂いた莢と種

温めた牛乳に入れて、しばらく置きます。脂肪が香りをよく受け止めるので、乳製品と合わせるのがいちばん確実です。

莢ごと煮出す種を取ったあとの莢

種を取ったあとの莢も使えます。捨てずに一緒に煮ると、まだ十分に香ります。

分量の三段階(2人分の目安)

気配ほど莢1/4本甘さの印象が上がる。バニラとは気づかれない
効かせる莢1/2本バニラの香りだとわかる。ふだんはここ
主役にする莢1本バニラの菓子になる

トンカ豆より多く要ります。同じ甘い方向でも、香りの強さが違います。

この食材と合う理由

牛乳、クリーム、卵、チョコレート、紅茶、りんご、桃、いちご。乳製品と果物です。脂肪のなかで香りがよく広がるので、カスタードやアイスで使うといちばん活きます。飲みものなら、土の香りや苦みのある素材と組むと役割がはっきりします。

塩気の強い料理には向きません。甘いものだと味覚が先に判断してしまい、料理の方向が変わります。

うまくいかないときの直し方

  • 莢が硬くて裂けない乾きすぎています。温めた牛乳に少し浸してから裂くと扱いやすくなります
  • 種を出したあとの莢はどうすればいいですか捨てないでください。まだ香ります。牛乳やシロップに一緒に入れて煮出すか、洗って乾かして砂糖に埋めてください
  • 高くて使いづらい一度に使い切る必要はありません。1/4本ずつ切って使えば、一本でかなりの回数もちます

一皿の設計例

バニラのホットミルク。温めた牛乳に、裂いた莢を1/4本と砂糖を少し。しばらく置いてから莢を引き上げます。寝る前に。

選び方・保存

黒く艶があり、しなやかに曲がるものを。折れるほど乾いているものは香りが落ちています。

密閉して冷暗所へ。冷蔵庫に入れると乾いて硬くなります。

使い終わった莢は洗って乾かし、砂糖に埋めておくと最後まで使えます。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceがバニラビーンズを使っているのは、Golden CHAInstantの一杯です。

この一杯はターメリックが主役です。黄金色と、土の香り。土の香りは低いところにあって、放っておくと沈みます。そこへ甘さを上から重ねて、蓋をする。バニラはその担当です。

同じ一杯にはトンカ豆も入っています。甘さの担当が二つある。ただし役割は分けてあります。トンカ豆はクマリンの甘さで、桜餅の葉の側。バニラはバニリンのまっすぐな甘さ。方向は近いのに出どころが違うので、重ねると甘さに厚みが出ます。一種類では、この厚みにはなりません。

砂糖を増やさずに甘さの印象を上げられる。それがこの素材を置いている理由です。

バニラビーンズが働いている商品

バニラビーンズは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

バニラビーンズとバニラエッセンスは違いますか?

違います。莢そのものを使うのがビーンズで、香りをアルコールなどに移したものがエッセンスやエキストラクトです。ビーンズは莢と種の両方に香りがあり、加熱しても比較的よく残ります。

トンカ豆とどう違いますか?

どちらも甘い香りの素材ですが、出どころが違います。トンカ豆はクマリンで、桜の葉と同じ成分。草の匂いを含みます。バニラはバニリンで、まっすぐ甘い。量はバニラのほうが多く要ります。

種を出したあとの莢は捨てますか?

捨てないでください。莢の内側にも香りが残っています。牛乳やシロップに入れて煮出すか、洗って乾かして砂糖に埋めるとバニラシュガーになります。

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