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Inspiceスパイス事典バタフライピー
バタフライピー(バタフライピー)
Butterfly pea

バタフライピー

「青の静けさ」。香りではなく色で語る花

バタフライピーは、東南アジアに育つマメ科のつる草の花です。乾かしても深い藍色が残り、湯に入れると色だけが溶け出します。香りではなく色を担当する、めずらしい素材です。

バタフライピーとは

学名
Clitoria ternatea
科名
マメ科
使用部位
原産地
東南アジア
和名
チョウマメ(蝶豆)
別名
アンチャン
流通の形
乾燥した花(ホール)

タイやマレーシアでは、古くから食べものを青く染めるために使われてきました。米を青く炊く、菓子を染める、そして茶にする。着色料としての用途が先にあり、飲みものとして親しまれるようになったのは、その延長です。

どんな香り

香りはほとんどありません。豆のような、ごくかすかな青さがあるだけです。目を閉じて飲めば、湯とほとんど区別がつきません。

その代わり、色があります。乾いた花を湯に入れると、数十秒で青が広がっていきます。アントシアニンという色素で、酸に触れると構造が変わり、青から紫、赤紫へと動きます。レモンを一滴落とすと、その場で色が変わるのはこのためです。

香りの素材ばかりを並べたブレンドの中で、この花だけが違う仕事をしています。味を変えずに、飲む前の印象だけを変える。飲みものは口に入る前から始まっている——という考え方でこの素材を置いています。

香りの行き先

バタフライピー

意外に近い

香りの事典に、香りを持たない素材が載っています。それでも載せているのは、飲みものの体験が香りだけでできてはいないからです。

一緒に使うと伸びる

色を動かす

バタフライピーの香りが、どの方向へ伸びるか

意外に近い素材

ターメリック

香りではなく色を担当する素材どうし。ターメリックは料理を黄に、バタフライピーは飲みものを青に染めます。どちらも「味を変えずに見た目を変える」という同じ仕事をしています。

パプリカ

どちらも料理に色を持ち込む素材です。ターメリックは黄、パプリカは赤、バタフライピーは青。香りではなく色で仕事をする素材が、Inspiceには三つあります。

一緒に使うと伸びる素材

色を動かす ── レモンピール

酸に触れると青が紫へ変わります。柑橘を隣に置くと、色そのものが変化する飲みものになります。

香りを預ける ── ベチバー、ペパーミント

この花は香りを持ちません。だから香りは別の素材に任せて、自分は色に専念させる。役割を分ける組み方です。

料理への応用

入れどき

煮出す

乾燥した花

青が短時間で出る。香りはほぼ変わらない。

ホットティー

水出しにする

乾燥した花

澄んだ青になる。濁らない。

アイスティー

酸を落とす

抽出したあとの液

青が紫、さらに赤紫へ動く。

レモンティーカクテル
バタフライピーを、いつ入れるか

煮出す乾燥した花

湯を注いで数十秒で色が出ます。長く置いても味は濃くなりません。色が決まったら引き上げて構いません。

水出しにする乾燥した花

水でもきれいに色が出ます。時間はかかりますが、熱を通さないぶん透明度が高くなります。

酸を落とす抽出したあとの液

レモンやライムを一滴。その場で色が変わります。飲む直前に卓上でやると、いちばん驚かれます。

分量の三段階(マグカップ1杯の目安)

軽く花2〜3個淡い水色。透明感が残る
ふつう花4〜5個はっきりした青。ふだんはここ
濃く花8個以上藍色に近い濃さ。色を見せたいとき

量は色の濃さだけを決めます。増やしても味はほとんど変わりません。

この食材と合う理由

レモン、ライム、はちみつ。酸を足せば色が動き、甘さを足せば飲みやすくなります。香りは別の素材に任せてください。

牛乳と合わせると、青がくすんだ灰色になります。色を見せたい飲みものでは避けてください。

うまくいかないときの直し方

  • 味がしないこの素材は香りも味もほとんど持ちません。色を担当しています。味は隣の素材が決めます
  • 色が薄い花の数を増やしてください。時間を延ばしても、量ほどには濃くなりません
  • 色が紫になった酸に触れています。レモンや酸味のある果物が入っていないか確かめてください。異常ではありません

一皿の設計例

氷を入れたグラスにバタフライピーの水出しを注ぎ、飲む直前にレモンをひと搾り。青から紫へ色が動くところを見せてから、口をつけてもらいます。

選び方・保存

乾いた花のまま流通します。潰さずに保管してください。

光に当てると色が褪せます。密閉して、暗いところへ。

湿気を吸うと花どうしが固まります。乾燥剤と一緒に保管すると長持ちします。

Inspiceでは、どう使っているか

Inspiceがバタフライピーを使っているのは、ベチバーティー シンフォニーNo.1のただ一箇所です。

No.1は素材が三つしかありません。ベチバー、エキナセア、バタフライピー。香りはベチバーとエキナセアが担当していて、この花は色だけを受け持っています。

夜のための一杯として設計したお茶です。カップに湯を注いだときに青が広がる——その数十秒を、飲むより前の時間として置いています。味を変えずに体験だけを変えられる素材は、そう多くありません。

レモンを落とせば紫に変わります。同じ一杯で二度楽しめるようにしてあるのも、最初からの意図です。

バタフライピーが働いている商品

バタフライピーは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。

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よくある質問

バタフライピーはどんな味ですか?

味も香りもほとんどありません。豆のようなかすかな青さがあるだけです。この素材の役割は、飲みものを青く染めることです。

なぜレモンを入れると色が変わるのですか?

青の正体はアントシアニンという色素で、酸に触れると構造が変わります。青から紫、さらに赤紫へ動きます。飲む直前に一滴落とすと、その場で変化が見られます。

カフェインは入っていますか?

入っていません。茶葉ではなくマメ科の花を使うためです。夜の一杯にも向いています。

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