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「草原の記憶」。干し草の青さをもつ北米の花
エキナセアは、北アメリカの草原に育つキク科の花です。使うのは花だけではなく、葉と茎を含む地上部。乾かすと、干し草のような青い香りが残ります。
北アメリカの先住民が古くから用いてきた植物です。十九世紀にヨーロッパへ渡り、ハーブティーの素材として広まりました。園芸ではコーンフラワーの名で知られ、庭に植えられる花でもあります。
干し草です。刈ったばかりの青い草ではなく、夏の終わりに乾いた草の匂い。そこにわずかな苦みが乗ります。花びらの甘い香りを想像すると、少し裏切られるかもしれません。
この素材は、自分が前に出るようにはできていません。香りの主張が弱く、代わりに、隣にある香りの輪郭をはっきりさせます。写真でいえば被写体ではなく、背景の側にいる素材です。
刻みの中には、花の芯だったオレンジ色の粒と、色の抜けた薄紫の花びらが混ざります。見た目に色があるのに、香りは静か。この落差が、この素材の性格をよく表しています。
香りの行き先
飲みものの花と、カレーの葉。どちらも乾いた草の香りと、かすかな苦みを持っています。カスリメティを手のひらで揉んだときの匂いを知っていれば、エキナセアの青さはすぐに分かります。
花と海藻。まったく違う場所のものですが、どちらも自分では主役にならず、隣の香りを立たせる働きをします。旨みで支えるか、青さで支えるかの違いです。
低い位置の香りに、乾いた草の青さが重なります。ベチバーティー No.1がこの構造です。
エキナセアの苦みは、柑橘の酸で輪郭が出ます。青さが澄んだ方向へ動きます。
苦みが気になるときは、甘い香りの素材を隣に置くと落ち着きます。飲みものとして飲みやすくなる方向です。
入れどき
煮出す
乾燥した刻み
青い香りと、かすかな苦みが出る。
水出しにする
乾燥した刻み
苦みが出ず、青さだけが残る。
ほかの素材と合わせる
乾燥した刻み
隣の香りの輪郭がはっきりする。
沸かした湯で数分。葉と花なので、根より早く出ます。長く置きすぎると苦みが立つので、色が出たら止めるくらいで十分です。
水に入れて冷蔵庫で数時間。苦みは熱で出るので、冷たく淹れると穏やかな顔になります。
この素材の本領はここです。単独で淹れると物足りませんが、土や甘さの隣に置くと、その香りが急にくっきりします。
苦みは量と時間の両方で強くなります。濃くしたいときは、量より先に煮出す時間を延ばしてみてください。
はちみつ、レモン、ミルク。苦みは甘さと酸のどちらでも和らぎます。ブレンドなら、土の香りを持つ素材と組ませると役割がはっきりします。
香りの強いスパイスと並べると、存在ごと消えます。主役の隣に置く素材であって、主役と競わせる素材ではありません。
エキナセアとベチバーの水出し。ふたつを水に入れて冷蔵庫にひと晩。土の香りの上に、乾いた草の青さが乗ります。夏の夜の一杯に。
花・葉・茎の刻みで流通します。色が混ざっているのが正常です。
乾物なので長く保ちますが、香りは落ちます。密閉して冷暗所へ。
細かいので湿気を吸いやすい素材です。開封後は袋の口をしっかり閉じてください。
Inspiceがエキナセアを使っているのは、ベチバーティー シンフォニーNo.1のただ一箇所です。
No.1は素材が三つしかありません。ベチバー、エキナセア、バタフライピー。逃げ場のない構成にしてあるので、一つひとつの役割がそのまま味に出ます。
この三つのうち、エキナセアだけが香りを担当しています。ベチバーは土の深さ、バタフライピーは青い色。そこへ乾いた草の香りを重ねることで、ベチバーの香りが「地面の下」から「地面の上」までつながります。根の香りだけでは、風景が半分しかありません。
量は多くありません。前に出させないためです。この素材は、隣の香りを立たせているときがいちばん働いています。
エキナセアは、Inspiceの1つのブレンドに入っています。以下は原材料表の順位から見た層です。ただし香りの強さは素材ごとに大きく違うので、量が少なくても主張が大きいことがあります。
干し草のような青い香りと、舌の奥に残るかすかな苦みです。花の甘い香りを想像されることが多いのですが、実際は静かで、乾いた草の側にあります。
入っていません。茶葉ではなく、キク科の花の地上部を使うためです。夜に飲む一杯にも向いています。
煮出す時間を短くするか、水出しにしてください。苦みは熱と時間で強く出ます。はちみつやミルクを足しても和らぎます。
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