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黒胡椒と白胡椒の違いは?|同じ木の実から生まれる四つの香り

黒胡椒・白胡椒・緑胡椒・テリーチェリーは、すべて同じ木の実です。
違うのは、摘む時期とそのあとの加工だけ。
辛さはほとんど変わらず、変わるのは香りの側です。
四つとも、同じつる植物の実
ブラックペッパーは、コショウ科のつる植物の果実を乾かしたスパイスです。学名は Piper nigrum。原産地はインド南西部のマラバール海岸で、いまの最大産地はベトナムです。
そしてホワイトペッパーも、グリーンペッパーも、テリーチェリーも、まったく同じ木の実です。品種が違うわけではありません。摘む時期と、そのあとの加工が違うだけです。
- 緑は、まだ熟していないうちに摘み、色が変わらないように加工する
- 黒は、熟しきる前に摘んで、熱してから乾かす
- 白は、完熟させてから水に漬け、外側の黒い皮を落とす
- テリーチェリーは、黒胡椒のうち大粒に育ったものだけを選り分ける
同じ植物から、これほど違う香りが取り出せるスパイスは、ほかにありません。
加工が変えるのは、辛さではなく香り
白胡椒の辛さは、黒胡椒とほとんど同じです。減っているのは香りの側で、外皮に含まれていた成分が落ちているぶん、まっすぐな辛さだけが残ります。「辛いのに香りが邪魔をしない」という状態がつくれるのは、このためです。
白胡椒には、皮を落とすために水に漬ける工程があり、そのあいだにゆるやかな発酵が起きます。あの独特の匂いはここから来ています。上品と感じるか、土臭いと感じるか。好みが分かれるところです。
緑胡椒はその反対で、熱を通していません。黒胡椒をつくる工程で加わる熱が、香りを乾いた方向へ動かす。その手前で止めると、摘みたての草のような青さが残ります。乾かすと緑が消えてしまうので、塩漬けやフリーズドライで流通します。
テリーチェリーは、粒が大きいぶん実が長く木に残ります。香りの層が厚くなる。辛さそのものは変わりません。増えるのは香りの側だけです。
四つの使い分けは、料理の色と入れどきで決まる
黒胡椒
最後に、挽きたてを。香りは挽いた瞬間から飛びはじめるので、皿の上で挽くのがいちばん贅沢な使い方です。煮込みに使うならホールを弱火の油へ。辛さの成分は油に溶けるので、最初に入れると全体に行き渡ります。
白胡椒
色を出したくない料理に。ベシャメル、クリーム煮、ポタージュ、白身魚や鶏の下味。白いソースに黒い点が散らないというのは、つくる側にとって思っている以上に大きな理由です。
緑胡椒
仕上げに、粒のまま。噛んだところで弾ける食感が身上なので、挽いてしまうと魅力が半分になります。軽く潰して生クリームやバターに移すと、フランス料理のグリーンペッパーソースになります。
テリーチェリー
香りを聴かせたいときに挽く。辛さが欲しいだけなら、ふつうの黒胡椒で足ります。値段の差は、香りの層の厚さぶんです。
挽き置きが物足りないのは、香りだけが先に飛ぶから
胡椒には、舌を刺す辛さを担う成分と、柑橘や樹木を思わせる香りを担う成分が、別々にあります。飛びやすいのは香りの側です。挽いてから数分で、香りだけが先に抜けていく。残るのは辛さだけになります。
「使う直前に挽く」という決まり文句には、この構造の裏づけがあります。量を増やす前に、挽きたてに替えてみてください。体感は倍ほど変わります。
Inspiceは、胡椒を「香りの側」の素材として置く
Inspiceは、辛さを足したいときには唐辛子や花椒を使い、胡椒はもっぱら香りのために置いています。ブラックペッパー、ホワイトペッパー、グリーンペッパー、テリーチェリー、そしてペッパーキャビア。同じ木の実ですが、摘む時期と加工で香りが変わるので、別のスパイスとして数えています。
その考えを一本にしたのが、ディッシュ シンフォニーNo. 5です。四種類の胡椒を並べ、香りの角度だけを変えて重ねてあります。原材料表の一番目がブラックペッパー、二番目がペッパーキャビア、三番目がホワイトペッパー。辛さの量ではなく、辛さの種類で構成した一本です。
グリーンペッパーは、HOT SPICE「痺辛」に入っています。四川青山椒のしびれと唐辛子の熱が並ぶ一本で、青い辛さを担当しているのはここだけです。
0.01g単位で調香するとき、この四つを「胡椒」とひとまとめにはできません。香りの行き先が、それぞれ違うからです。舌で確かめて、分子で裏を取る。どちらか片方では、ここまで細かくは決められません。
胡椒それぞれの香りの地図は、スパイス事典にまとめています。
よくある質問
Q. 黒胡椒と白胡椒は、同じ木の実ですか?
A. 同じです。黒は熟しきる前に摘んで熱してから乾かし、白は完熟させて水に漬け、外皮を落とします。辛さはほぼ同じで、変わるのは香りの側だけです。
Q. 白胡椒はどんな料理に向いていますか?
A. 色を出したくない料理です。ベシャメルソース、クリーム煮、ポタージュ、白身魚や鶏の下味。黒い点が散らず、辛さだけがまっすぐ通ります。
Q. ピンクペッパーも同じ仲間ですか?
A. 別物です。ピンクペッパーは南米原産のコショウボクという木の実で、コショウ科ではありません。
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