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スパイスの相性は何で決まる?|香りでつながる67種の地図

スパイスの相性は何で決まる?|香りでつながる67種の地図

スパイスの組み合わせに、決まりはあるのでしょうか。カレーにはクミンとコリアンダー、チャイにはカルダモンとシナモン——なんとなくの型は知っていても、なぜその組み合わせなのかは説明しにくいものです。

じつは理由があります。相性のいいスパイスは、香りの成分をいくつか分け合っています。産地も見た目も違うのに、香りの一部が共通している。だから隣に置いても喧嘩しません。

私たちは、この見方でずっと香味料をつくってきました。味見から始めるのではなく、香りを読んでから鍋に向かう。一つの植物がもつ香りの成分は、数十から数百。リナロール、ピネン、アネトール——名前の粒を一つずつ照らし合わせ、どれとどれが重なるかを見てから、0.01g単位で置き場所を決めます。舌で確かめるのは、そのあとです。

魚を選ぶときにその日の脂の乗りを見るのと、やっていることは変わりません。見ている粒が細かいだけ。香りの設計図を引いてから、台所に立つ。Inspiceが最初の一本からずっと続けている手順です。

Inspiceでは、香味料に使う植物67種を一つずつ書いたスパイス事典を公開しています。この記事では、そこから見えてくる「関係」の話をします。

相性は、香りが重なるかどうかで決まる

コリアンダーとクミン。世界中のミックススパイスが、この二つを土台にしてきました。コリアンダーの柑橘とフローラル、クミンの乾いた土と苦み。方向は正反対に見えますが、香りの成分をいくつも共有しています。

面白いのはコリアンダーのほうで、「これがコリアンダーだ」と言い切れる固有の香りを持っていません。持っている香りをすべて、よそのスパイスと分け合っている。だから誰の隣にも立てます。Inspiceのスパイスカレーが4作すべてでコリアンダーを原材料表の一番目に置いているのは、この性質のためです。

遠いのに、近い

事典を組み立てていて、いちばん書きたくなるのがこの関係です。

ジュニパーベリーと、飛騨の高原赤山椒。北欧の森の実と、奥飛騨の山の実。産地としては地球の反対側ですが、香りの成分を四つ分け合っています。針葉樹の樹脂と、山椒の柑橘は同じ側にあります。Inspiceのディッシュ シンフォニーNo.4は、この二つを同じ一本に置いています。

キャラウェイとカロンジ。ヨーロッパのライ麦パンの種子と、インドのナンに散らす黒い粒。この二つが持つ香りの成分は、鏡に映したような関係にあります。分子式も骨格も同じで、立体構造だけが反転している。片方は温かい甘さ、もう片方は冷たさを担う。フレアラインのCITRUS EMBERでは、この二つをまったく同じ重さで置いています。

スパイスの相性は何で決まる?|香りでつながる67種の地図

同じ木の実から、黒も白も緑も採れる

黒胡椒、白胡椒、緑胡椒、テリーチェリー。別のスパイスだと思っていた方も多いのではないでしょうか。すべて同じ木の実です。摘む時期と加工が違うだけ。

緑は未熟なうちに摘んだもの。黒は完熟前に摘んで熱してから乾かしたもの。白は完熟させてから水に漬け、外側の黒い皮を落としたもの。テリーチェリーは、そのなかで大粒に育ったものを選り分けた最上級品です。スパイスは「何を使うか」だけでなく、「どれを、いつ摘んだものを使うか」でも決まります。

いちばん少なくて、いちばん抜けない

Inspiceのチャイとthe cocoaには、岩塩が入っています。しかもそのすべてで、原材料表のいちばん最後。例外がありません。

それでも抜けません。塩は他の味を引き出す働きをするので、チャイの甘さも、カカオの苦みも、ひとつまみあることではっきりします。量としてはいちばん少なく、それでいて抜くと全部がぼやける。

ハバネロも同じです。フレアライン全5種の、必ず最後に一つ。辛くするためではなく、香りに火を点けるために置いています。量が少ないことと、働きが小さいことは別の話です。

事典の使い方

67枚のカードは、名前を知らなくても探せるようにしてあります。

検索欄に「こしょう」と打てば胡椒の仲間が、「山椒」なら山椒の仲間がまとめて出ます。漢字でもひらがなでもカタカナでも同じように当たります。「カレー」「ジン」「桜」といった言葉でも引けます。

「香りの性格で絞る」を使うと、辛い・しびれる・甘い・柑橘・香ばしい・土・涼しい・旨み・苦い・緑・塩で絞り込めます。名前は思い出せないけれど、こういう香りのものを探している——という探し方ができます。

0.01g単位で香りを組み立てる現場で見ているものを、そのまま置きました。スパイス事典から、気になる一つを開いてみてください。

スパイスの相性は何で決まる?|香りでつながる67種の地図

よくある質問

Q. スパイスの組み合わせに決まりはありますか?
A. 厳密な決まりはありませんが、目安はあります。相性のいいスパイスは香りの成分をいくつか共有しているので、産地や見た目が違っても隣に置けます。逆に、同じ方向の香りばかりを重ねると単調になります。違う方向のものを一つ足すと立体になります。

Q. 黒胡椒と白胡椒は違う植物ですか?
A. 同じ木の実です。黒は完熟前に摘んで熱してから乾かし、白は完熟させてから水に漬けて外側の皮を落とします。辛さはほぼ同じで、香りだけが穏やかになります。白身魚やクリームソースのように、色を出したくない料理では白が向きます。

Q. スパイス事典はどう使うのが便利ですか?
A. 名前で探すなら検索欄に打ち込んでください。漢字・ひらがな・カタカナ・英語のどれでも当たります。名前が分からないときは「香りの性格で絞る」から、辛い・甘い・柑橘といった方向で絞り込めます。

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