一皿の香りから、人生は変わる。INSPICEが生まれるまでのこと。
「この香りを、まだ誰も知らない。」
ある日ふと立ち上がったそんな直感が、INSPICEというブランドのはじまりでした。
その瞬間が訪れるまで、西村祥(INSPICEの創業者/調香味士)は、スパイスとも、料理のプロフェッショナルとも無縁の世界に身を置いていました。
けれど、キャンプで鍋を囲む夜。ホームパーティーでふるまう手料理。
日常の中にふと訪れる、“誰かと食卓を囲む時間”を愛してやまなかった。
「せっかく作るなら、記憶に残るような一皿を。」
その想いから、料理に“ひとさじの驚き”を求めるようになり、スパイスやハーブに触れ始めます。
唐辛子の奥に広がる果実のような甘さ。胡椒の先に香る、木の皮のようなニュアンス。
香りを重ねることで、料理がひとつの“風景”になっていく。その発見は、化学ではなく感性に訴えかけてくるものでした。
いつしか調香は、日々のルーティンとなり、言葉にならない「自分だけの味覚体験」を生み出していきます。
そしてあるとき、ふと思うのです。
「この世界に、まだ誰も知らない香りがあるなら、届けてみたい」と。
それは単なる味の追求ではなく、「香りのある人生」の提案。
人工的な添加物や、過剰な塩味ではなく、100%植物性で、ナチュラルであること。
それでいて、心の奥まで響くような香りを持ち、使う人の五感をほどくようなスパイスフードであること。
INSPICEは、そうして静かに始まりました。