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INSPICE CHAI 開発ストーリー
今回、このようにして、INSPICE CHAIを皆さんに
ご紹介できることをとても嬉しく思っています。
この品質にたどり着くまでのストーリーを紹介することで、
より深くこのチャイのおいしさをご堪能いただけるのではと思い、
記憶や書き記していたメモを引っ張り出してみました。
こうしてストーリーを書いてる最中にも、私のテーブルに
置かれたチャイから湯気が立ち昇っています。あらためて、声をかけていました。
「本当においしく出来上がったね」
このチャイが、一人ひとりの世界をより良いものにする原動力となりますように。
今回、このようにして、INSPICE CHAIを皆さんにご紹介できることをとても嬉しく思っています。
この品質にたどり着くまでのストーリーを紹介することで、より深くこのチャイのおいしさをご堪能いただけるのではと思い、記憶や書き記していたメモを引っ張り出してみました。
こうしてストーリーを書いてる最中にも、私のテーブルに置かれたチャイから湯気が立ち昇っています。あらためて、声をかけていました。
「本当においしく出来上がったね」
このチャイが、一人ひとりの世界をより良いものにする原動力となりますように。
INSPICE ディレクター/代表取締役 西村 祥
心から美味しいと思えるチャイを作りたい
インスパイスを立ち上げるずっと前のことです。私は友人家族や仕事の同僚などを家に招き、その空間がより楽しくなるための、おもてなし料理に夢中になっていました。多い年では年間70回ほどホームパーティーを開催。それは今でも私のライフワークであり、創造の源、生きる活力となる大切な時間です。
「今晩はどんな献立にしようか。まだみんなが味わったことのない料理を出してみたいな。」
そのようなことをいつも考えます。驚かせたい、感動させたい。スパイスやハーブを料理に活用するようになったのは、自然な流れでした。
「まだ知らない未知なる味わいや香りがこの世界に溢れている。」
スパイスやハーブの無限とも言える組み合わせに加えて、食材や調理法、食す環境といった要素との四則演算から生まれる把握しきれることのない広大無辺なスケールを心に感じ、社会の常識と言われることや集合意識にとらわれることなく自由に世界を楽しむ少年少女のようにワクワクドキドキしたのを覚えています。
その時の衝動が、インスパイスを創業する原動力となっていきました。
スパイスを日常的に食卓で扱うようになると、自然に飲み物へも興味のベクトルが向かいチャイに出会いました。レシピをあれこれ読みこんで材料を揃え、初めて作って飲んだ時の、その味と不思議と身体の芯から湧き上がってくる活力に感動したことを今でも鮮烈に覚えています。
それから日常的にチャイを飲む習慣が始り、来客があれば振る舞い、家の中だけではなく朝淹れたチャイをタンブラーに詰め、オフィスやアウトドアでも楽しむようになりました。
「インスパイスでチャイを作る」
その構想は、スタート時からありました。そして商品化に着手できるタイミングがきて真っ先に一つの問いが立ち昇りました。
「チャイってなに?」
これまではそこまで深く考えずに、チャイと言えばこんなスパイスを入れるのが定番で、こんな作り方でというある意味で感覚的に作り飲んできました。新鮮で質の良いスパイスを各スパイスに適した具合で挽き、伝統的な配合でミックスすれば、美味しいと言ってもらえる商品になることはわかっていましたが、それは自分がやりたいことだとは思えませんでした。
【美味しい】で完結するチャイはこの世界にすでにあり、それはインスパイスでやるべきことではありません。挑戦すべきは、まだ人類が体感したことのない風味と味わいのテイスト、そしてそこから広がるライフスタイルの提案。美味しいと感じる感覚は人それぞれだけど「唯一無二のテイストであり、自分自身が心から美味しいと思えるチャイを作ろう」と決意しました。
軸となるスパイスブレンドの探求
開発がスタートし、まず着手したのは自分の中にあった固定観念を一個ずつ認識していくことでした。
「伝統的なチャイはなぜこのスパイスを使っているんだろう」
「煮出す温度や時間はなぜこう設定しているのだろう」
「茶葉や水、スパイスやミルク、砂糖はなぜこのタイミングなんだろう」
といった【何故】を出し切った後に、その固定観念とは外れたことにトライしていきました。料理も含め、この世の事象すべてに正解や善悪はないと私は思います。自分が美味しいとか心地よく感じることを、あるがままに選択していけばいいのです。様々なことをやってみて、心惹かれる要素や方向性の大枠を掴んでいきました。
チャイは自由な飲み物です。チャイ発祥である本場インドでも各家庭や作り手によってスパイスの配合や量、作り方は様々にありますし、そこから派生して根付いた国々にも独自の特徴があります。そもそもに、スパイスが一切入っていないチャイもあり、それもチャイなのです。
チャイ(CHAI)は英語で、ヒンディー語の茶を意味する言葉。広く認知されているのは、やはりインド式に甘く煮出したミルクティーですよね。
INSPICE CHAI SPICE PACKでは
スパイスブレンド+CTCアッサム茶葉+ミルク(またはソイミルクなど)+砂糖
という、チャイといえばこれという基本の構成上に、新たなる可能性を探求しました。茶葉やミルク、砂糖は【美味しさ】に大きく影響をもたらしますが、人間の感覚に豊かに力強く響き、大きな歓びを与えてくれるのはやはりスパイスです。
カルダモン、シナモン(カシア)、ジンジャー、クローブ、スターアニス(八角)
の5つを基本ベースとし、最もおいしいと思える配合量を求め、そこから理想に思い描くフレーバーを目指していきました。ちなみに、ジンジャーは生の生姜をご自身で用意してもらうことも考えました。フレッシュな生姜を使ったチャイのテイストはやはり美味しいのですが、なるべく材料は少ないほうが作りやすことや、乾燥された生姜のほうがより身体を温める効果が高いというメリットもあり、そちらで調和のある美味しさを求めることに決めました。
最終的に辿り着いたINSPICE CHAIのスパイスパレットは下記です。
カシア、カルダモン、馬告、クローブ、フェンネルアクナビ、ジンジャーパウダー、 トンカ豆、スターアニス、テリーチェリーブラックペッパー、チムール、ナツメグ、 コリアンダー
5つの基本ベースとなったスパイス以外の特徴と、それらがどのように配合に至ったのかを次に書き記していきたいと思います。
トンカ豆
Dipteryx odorata
トンカ豆はクマルというマメ科の樹木になる黒い種子。香りの芳香成分のほとんどは「桜の葉」や「アーモンドの核・杏仁」「ベルガモット」に含まれている『クマリン』です。バニラのような甘い香りがし、実際にカスタードクリーム、クレームブリュレ、アイスクリーム、チョコレート、シュトーレンなどのお菓子の香り付けにも使用されています。とってもリッチな香りが特徴なのですが、実際にとても希少なスパイスで1gあたりの価格も今回配合しているものの中では最も高価。さらに、1パックあたりの配合量が最も多いスパイスでもあります。INSPICE CHAIの中でトンカ豆が担う役割は「結合」です。各スパイスを結びつけ、ミルク/茶葉とスパイスを結びつけ、チャイと飲む人を結びつける重要なパートを担っています。香りの科学的な見地にたっても、クマリンは「酸味」や「ミルク」との相性がよく、それらを引き立てます。オーケストラで例えるなら、指揮者でしょうか。ぜひ、トンカ豆の特徴的な香りが全体を包む感じたことのない新しいチャイのフレーバーをお楽しみください。
馬告(マーガオ)
Maqaw
台湾の原住民「泰雅(タイヤル)族」が、古来より調味料として長らく愛用してきた「馬告」(マーガオ)。見た目は黒胡椒のようで、山椒のような ”ピリッとした辛味" と生姜のような "ほのかな苦味" 、そしてなんと言っても素晴らしい柑橘系の爽やかで繊細な”レモングラスの香り" が特徴。その希少性から『幻の香辛料』とも呼ばれ、近年、欧米を中心に世界中の料理人から注目を浴びる魅惑のスパイスです。馬告は、開発当初からチャイに配合したいと思っていました。馬告は、ホールのまま使うのと、削って使うのとでは現れる風味に大きな違いがあります。INSPICE CHAIで引き出したかったのは馬告が持つレモングラスの香りと風味。そこでホール状のまま、パウダースパイスに配合し、ミルクと煮出しながらエッセンスを抽出するスタイルに決めました。
フェンネルアクナビ
Fennel Lucknowi
フェンネルをご存知の方は多いかと思いますが、INSPICE CHAIでは、通常のフェンネルシードより少し甘くて上品な香りが特徴のフェンネルアクナビを使っています。当初は、フェンネルではなくキャラウェイで試作していました。ともに、アニスのような甘い香りを持っています。より甘い風味を持つキャラウェイのほうが相性がいいと考えていましたが、試作を繰り返すたびに、何かが違うという感覚がずっとありました。「何かもっとこう牧歌的というか、香ばしさと懐かしさを感じる風味を加えて、ミルクの旨味を上品で調和のあるものにしたいな」と考えていたある日、フェンネルから牧歌的な香りをふと感じ、キャラウェイと入れ替えてみたところ、パズルのピースがピタッと綺麗に収まる味わいを覚えました。でも、やはりアニス香はキャラウェイに比べて落ちます。そこでより甘味が強いフェンネルアクナビで試したところ、もう完璧でした。
テリーチェリーブラックペッパー
Terry Cherry Black Pepper
インドのマラバール地方産の希少な高級ブラックペッパー「テリーチェリー」。青い未熟なうちに収穫され、天日で乾燥され作られます。最高級の胡椒といわれ、柑橘系の香りと上品かつ繊細なスパイシーさが特徴。INSPICE CHAIでスパイシーさの中でも「苦味」というパートを担う奏者に「クローブ」があります。オーケストラの楽器でイメージすると、クローブがコントラバスで、このテリーチェリーブラックペッパーはチェロでしょうか。同じ苦味でも担当する音域が違うイメージです。重低音で全体を支えるクローブと、より軽やかに全体に絡み合うテリーチェリー。苦味はそれ自体では、美味しさに直結しませんが、全体の風味に奥行きと立体感を生み出す重要なスパイスです。一般的な黒胡椒では、この錚々たるスパイスの顔ぶれの中にあって浮き出しあってしまいますが、このテリーチェリーはその中にあって見事なハーモニーを奏でてくれています。
ナツメグ
Nutmeg
ナツメグの深く甘いウッディーな風味は、チャイに温かみを与えてくれます。カシア(シナモン)やクローブと組み合わさることで相乗効果が生まれ、より懐の深い味わいになりました。ナツメグの精油には「ネオグリナン」と呼ばれる成分を含み、舌と口内の温度感覚神経に作用して、山椒にも似たしびれるような長く残る冷感を与えます。実はこれ、後述にもあるINSPICE CHAIがこだわった「飲み終わった後に長く続く余韻」の組み立てに重要な要素なのです。
コリアンダー
Coriander
INSPICE CHAIを飲んでいただくと、その豊かに香り立つフローラルさにご感動いただけます。コリアンダーは、乾燥したオレンジピールを思わせるほろ苦さが特徴のスパイス。さまざまなスパイスとの相性も良く、特徴的なスパイスたちを優しく包み込んでくれる存在です。
チムール
Timbur
ネパールのタライ地域にある熱帯雨林に住んでいる民族が栽培している山椒の仲間です。フルーティな柑橘の香りと、後から追いかけるように広がる花椒(ホワジャオ)のようなピリッとした刺激が特徴のスパイス。INSPICE CHAIを印象付ける体験に「飲み終わった後に長く続く余韻」があります。その余韻を生み出すために重要な役割を担っているのがこのチムールなのです。一般的にチャイは飲み終わった後に口の中にミルク感が残ります。チムールのピリピリとした刺激と、爽やかなフレーバーが、このミルク感をより心地よい味わいに高めてくれることを発見しました。チムールがなければ、INSPICE CHAIにはならないと言えるほどに重要なスパイスです。
以上が、INSPICE CHAIにブレンドされているスパイスとなります。その他に含まれている原材料についても触れておきます。
岩塩
INSPICE CHAIには1パックあたり0.01gの岩塩を加えています。極少量となるため、塩見を感じることはないかと思いますが、この岩塩を加えることで味わいに立体感が生まれ、さらに甘みを引き立ててくれます。
茶葉
茶葉は1966年以来、インドの最高のお茶としてゴールドスタンダードとなっている「ブルックボンド社 タージマハルティー (Taj Mahal Tea) 」を贅沢に使用しています。濃厚なコクと味わい、非常に芳醇な香りをもつアッサムの中でも特級品と愛される茶葉で、多くのミネラルを含んでおり、ポリフェノールによる糖質の分解排出などの効果もあります。砂糖をしっかり加えてこそ美味しいチャイなので嬉しいですよね。実際にいろんな茶葉を取り寄せて、スパイスブレンドと合わせ検証しましたが、やっぱりタージマハルティーで淹れるチャイは格別でした。
0.01グラム単位でテイストデザイン
スパイスパレットが決まったからといって、ブレンドが完成とはすんなりいきません。よしこれでいこうと選択したスパイスパレットに間違いのない自信がありましたが、各スパイスのブレンド比率によってそのテイストは縦横無尽に変化していきます。またいくら魅力的だからと言って、過剰すぎるとオーバースパイスとなり、陽が陰へと反転してしまいます。基本となる5つのスパイスから、岩塩も含めると8種加わり全 13種類に増えたことで、パターン数は銀河に広がる星の数ほどあると思えたほどです。
「美味しいし、テイストも唯一無二なんだけど、心が震えるほどの感動を自分自身で感じないんだよな。。」
という日々が続きました。人間、1日にそう何リットルもミルクを飲むのは大変です。身体がミルク自体を受け付けなくなってきたと感じることもありましたが、それでも飲む他にゴールに到達することはできないのです。だれかに飲んでもらって美味しいと太鼓判をもらったからと言って、それで完成とはできません。自分が心から美味しいと思えるチャイを完成させるには、自身で飲んで意思決定する以外の方法はないのです。とんでもない事に手を出しちゃったな。。と何度か思いました(笑)
0.01g単位で各スパイスのブレンド率を動かしながら試作を重ね続けていたある日、「ああ、これだ」と言葉にならないほど調和に満ちた一杯が目の前に輝いていたときの感動を忘れることはありません。
飲み終わった後に長く続く、余韻にとことん拘る。
味わい、フレーバーのデザインで最もこだわり、またその到達までの道のりが険しかったのは「余韻」でした。一口めに感じる余韻と飲み終わった後にもより長く続く余韻です。身体の芯から心地よい気持ちが広がり、時にリラックス、時に活力が湧き上がってくるような、口にされる人々の日常を鼓舞するような余韻を求めました。
発売前にとある信頼のおける方に飲んでいただいた感想に、「飲んだ後の余韻が素晴らしい。今まで飲んでいたチャイがコーヒーだとすると、インスパイスのチャイはエスプレッソを飲んだ後のような余韻の満足感がある。」といただいたのですが、あっこれはすごくわかりやすいなと思いました。余韻のテイストで決めてとなったスパイスは、馬告とチムールです。ぜひここは飲んでいただいた際には、皆様にも感じていただきたいポイントです。
500mlを基本にした理由
INSPICE CHAI 1パックで淹れるチャイの基本容量を500mlにしました。理由は3つあります。
1つめは、美味しく淹れることのできる最低量が500mlであることです。これ以下となると、水で茶葉とホールを鍋で十分に煮出して、その美味しさを引き出すことができません。
2つめは、作りやすさ。容量が多くなればなるほど、煮出す時間も長くなり、温度調整も難しくなります。たっぷり入って重い鍋を持ち上げ、茶漉しを通すのも大変です。こぼれやすくもなります。日常の中で気分良くチャイを淹れていただくには500mlが理想的だと判断しました。
3つめは、提案したいチャイのある風景です。
500mlはひとりで一度に飲むには多いですが、家族や友達とみんなで楽しむにはちょうどいい量です。また、ひとりで飲む場合でも朝に淹れたチャイをカップで1、2杯楽しんで、残りをタンブラーに詰めて日中いつでも好きな時に楽しめるのもいいですよね。大人数で集まった時は、2パック使って1リットル作れば、みんなで大満足になれます。
これらを含めて、500mlを基本の容量としました。もう少し量が欲しいなという際は、1パックで最大700mlまで美味しく淹れることができます。500mlに比べてややあっさりとした味わいになりますが、こちらが好みという方もいらっしゃるのではないでしょうか。700ml淹れて、温かいチャイを数杯楽しんだ後に、残りは冷蔵庫に入れておき、アイスチャイを楽しむのもいいですね。もちろん、ホットで飲みたい時はカップに注いでレンジで温め直してお楽しみください。
チャイを淹れる豊かな時間。
お鍋を用意して、茶葉やスパイスを適切なタイミングで加えてコトコト煮出し、ポットに濾しながらチャイを抽出しなければ飲めないのは少し手間に感じられるかもしれません。開発の初期段階でも、簡単気軽に飲めるモノづくりは念頭にありましたが やはり”美味しい” ことこそ一番大切にしたかった。電子レンジで簡単にワンカップ作れるものや、ティーパックを使用し後処理が便利なものもありますが、それでは絶対に味わうことのできない世界があるのです。そして自分自身、何度もチャイを淹れてきて気づいたことがあります。
チャイを淹れるひと時は、とても豊かな時間。
時に慌ただしかったり、心が落ちつかない日常の中で、その時だけは ”美味しいチャイを淹れる” ことだけに集中する。無心になる。温かみのあるフローラルなスパイスの香りが部屋を優しく穏やかに包みこみ、茶葉がプクプクと鍋を踊る様や、スパイスがミルクの中をクルクルと回る姿をただ眺めているだけで、心がとてもリラックスしていくのを感じます。
チャイが格別に美味しいことは大切ですが、チャイを淹れることで自然と得られる体験の中にも、わたしたちを豊かにしてくれる悦びが溢れていたのです。まさにこれはINSPICEが本当にお届けしたい「楽しい、嬉しい、美味しい毎日」のワンスパイスとなる体験そのものを物語っています。
楽しい、嬉しい、美味しい毎日を。
こうして発売を迎えるまでの日々を思い起こし改めて、心から自分が良いと言えるモノ、そしてそこから広がるコトを生み出せたこと、心より嬉しく思います。
さまざまな朝に。さまざまな夜に。日常の中での最良のチャイ体験を、ぜひ、お楽しみください。
- 特徴
- 淹れ方
- ストーリー
- 販売店