「辛さ」をどうデザインするかから始まった
INSPICEの香味料ライン「DISH」「HotSpice」に続き、誕生したのが新シリーズ Flare Line。当初はHotSpiceの「旨辛」「痺辛」に続く新たなフレーバーの一つとして構想され、テーマは「芯から響く鋭い辛さ」でした。
カプサイシン値の高い“激辛”唐辛子を用いた試作を重ねる中で、私たちは一つの転換点に出会います。
「辛味」から「熱味」へ──スパイス設計の進化
料理における辛さを、単なる“味”ではなく、香りや旨味を動かす“熱”として捉える──
そんな視点の変化が、Flare Lineの原点です。
たとえば料理に“50”の辛味が必要なとき、“10”の辛さの唐辛子と“100”の唐辛子では、必要量がまったく異なります。より辛い唐辛子を少量使えば、香味設計の余白が生まれ、他の素材の個性を引き出すことができる。この考え方は、まるで香りと味に空間を与えるような発想でした。
幾多の実験の末、ハバネロにたどり着く
開発初期にはジョロキアなど、ハバネロ以上に辛い品種も検証しました。しかし求めたのは、ただの刺激ではなく、辛味と香味の絶妙な塩梅。リモネン、ピラジン類、エステル類…
唐辛子に含まれる複雑な香味成分と、料理との調和性を丁寧に見極めた結果、私たちが導き出したのがハバネロでした。
フルーティーさと香りの持続力、他のスパイスとの調和に優れるハバネロは、Flare Lineにおいて“主役”ではなく、料理の香味をひらく“導火線”として機能します。
あなたの料理に、“静かな熱”と“ひらめき”を
Flare Line の5種のブレンドは、すべてが異なる個性を宿し、
料理に合わせて使い分けることで、香り・熱・余韻に深みが生まれます。
KASUMI SMOKE
椎茸と昆布の旨味に、白ごまと赤山椒の香ばしさ。
和の静けさに、ハバネロの熱がやわらかな輪郭を添えます。
CITRUS EMBER
カファライムやレモンピールの清涼に、キャラウェイとカロンジのアクセント。
辛味が香りを立体的に整え、冴えたキレを演出。
MELLOW FIRE
シナモンとアニスの甘香、ローストカカオの奥行き。
やさしい甘さの中に、芯のあるスパイス感が響く一品です。
GREEN NUDGE
バジルやトゥルシーの青さに、フェンネルとセージのハーブ感。
素材の輪郭をナチュラルに引き出すグリーン系ブレンド。
NUTTY FLARE
ピーナッツ、ピスタチオ、クミン、カカオニブの重厚な香ばしさ。
ハバネロが軸を貫き、複雑で余韻のあるロースト感を形成します。
どこにもない香りと熱を、あなたのキッチンへ
Flare Lineは、特別な日のためのスパイスではありません。日常の食卓に、小さな“熱”と“ひらめき”を灯す香味料です。無塩・無添加・100%植物由来のクリーンな設計だからこそ、炒める・煮る・焼く・漬ける・仕上げる──あらゆる調理工程で自由に活躍します。
私自身、Flare Lineを手に取るたびに、「今日はどんな香りや熱をこの料理に重ねてみよう?」という小さな実験心が湧いてきます。そして、ひと振りで立ち上がる香りに驚き、「この組み合わせ、美味しい!」と頬がゆるむ瞬間に、心が動かされます。
その一振りが、料理に“個性”と“熱”を
Flare Lineは、世界にひとつだけの「熱のデザイン」。香りの感性で料理が変わる。日常がもっと楽しくなる。そして食べる人の笑顔につながっていく。そんな香味料です。
あなたのキッチンにも、Flare Lineという新しい選択肢を。
その一振りが、あなたの料理に“個性”と“熱”を灯してくれるはずです。
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- INSPICE ディレクター/フレーバーデザイナー 西村祥(Sho Nishimura)